知らないふり


届かない言葉。消えゆく声。

本当の思いはいつも心にしまわれて


声をあげることは憚られ、

涙を流すことも

今の僕にはできない


いつからだろう、

心は静かに崩れていく


一つ一つネジはゆるみ、

軋んだ音を立てていく


いっそのこと、壊れるなら壊れればいい


伝えても届かない

声を響かせても聞こえない


それならばずっと届かなくてもいい

聞こえなくてもいい


誰にも分からないならば


消えてなくなってしまえばいい

壊れてしまえばいい


崩れいく――


そのかすかな音を

僕は聞こえないふりをして


これでいいんだ、と耳を塞いだ


持ち主にも見捨てられたそれは

誰にも知られずに――


崩れ落ちるまであとどれくらい?






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