170530「残酷とは程遠い愛」2

 城内は度重なる攻撃で大きく損傷していた。火の回りが早い。

 かつての記憶を頼りに天文室へ駆け込むと、彼女は一人待っていた。青年の姿を認め、頬がゆるむ。

 目前に死が迫ってなぜ、笑っていられるのだろう。

「あなたの剣で逝ける、残酷とは程遠い愛に満ちた運命だからかしら」

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