人事部のジョー episode1(中間管理職 森本編)
市川比佐氏
第1話
「あちゃあ、フォアボールだ。ワンアウトランナー、一、三塁ですよ」
満員の甲子園球場、八回裏阪神タイガースの攻撃、二対二の同点、伝統の巨人阪神戦は最大の山場を迎えていた。
今どき時代錯誤のナショナル製ブラウン管テレビがバチバチと乾いた音を立てながら白熱した試合を放じている。六月の迸る熱気が、画面を伝ってきそうだ。
「なに残念がってんねん。なんや、お前、読売応援しとるんか」
横浜野毛の居酒屋「虎次郎」で野球中継を見ながら管を巻くのは、安徳工機人事部に在籍する掛布茂雄と、同じく人事部で部長を務める「人事部のジョー」こと城山丈一郎。二人は顔を赤らめながら画面に向かって関西弁で罵った。
マウンド上は杉内。球数は既に百球を超え、ゼェゼェと肩で呼吸をしている様相だ。
「そろそろ代えますかね、杉内」
掛布が云うと、画面はブルペンへと移り、控え投手が肩を温めるシーンが映された。右の澤村、左の山口が、小気味よく速球を投じている。
再び映像がグラウンドに切り替わると、原監督が腰に手を当てながらマウンドまで歩み寄り、なにやら手を拱いて野手陣を集めた。それを見て、守備についていた野手達が駆け足で原監督のもとに集まる。
ジョーは珍しそうなものを見るように、テーブルに肘をついて目を細め、テレビ画面に集中した。
「いや、違う。奇襲や」
ジョーが声を荒げると、中堅手の守備についていた亀井も、原監督のいるピッチャーマウンドまで駆け寄ったのだ。
「内野だけやのうて、外野も集めとるぞ。ほれ、亀井や」
「珍しいな、奇策かいな」
物々しい気配を感じ取り、掛布は画面に吸い込まれるようにその大柄な体躯を乗り出した。
亀井は、そのまま内野に残ると、ちょうどセカンドベース上に立ち止まった。
その分、ショート坂本はサード寄りに、そして瞬足で守備範囲の広いセカンド片岡が僅かにファースト寄りに構えると、内野五人シフトが完成したのである。
「はあ、アメリカ人気取りか」
ジョーは巨人サイドの策略を理解すると、溜息をついて仰け反った。
原監督の作戦はこうだ。
打球が内野に飛べばボールバック、追加点を与えぬよう、本塁で確実に殺そうという魂胆だが、誰もいないセンターに打球が飛べば忽ち長打になる。ピンチの場面での極端なシフトは博打にも思われた。
満員の甲子園球場では、レフトスタンドからもライトスタンドからも大きな歓声が上がり、名指揮官のイチかバチかの賭けの行末を、固唾を飲んで見守っている。
思わぬ策略を目前にしてザワめく甲子園球場であるが、一方で阪神側ベンチにも、なにやら動きがあった。
ベンチを飛び出した真弓監督が急いで主審の元に駆け寄ると、手を上げて合図した。
口の動きから「代打やな」と推察した掛布の予想は的中、真弓監督は八番今成に対し、怪我から復帰したばかりの西岡を代打に送ったのである。
こうして阪神サイドもまた、大きな賭けに出たのだ。
「ここ最近、不調の西岡や。打率も二割代前半まで落ちている。メジャー行って尻尾巻いて帰って来たとこ、阪神が拾ってやったんやけ、ここで一本打てよ」
掛布はテレビの音量を上げると、両者作戦参謀を見守った。
『さあ、ピッチャーの杉内、一塁ランナーの上本を目で牽制し、だらりと腕を上げて呼吸を整えます』
主審が右手を上げ、プレイの合図がかかると球場全体からは唸るような歓声が湧き上がった。「気迫の一打、打て西岡」の後に、内野席からは「読売潰せ」のコールが湧き上がる。
バシンッ、バシンッと小気味良い投球がミットに刺さる度、溜息が湧く阪神甲子園球場。
当の杉内は、肩に力が入っているのか、なかなかボールがストライクゾーンに入らない。
捕手阿部慎之介は肩を揺らしながら、杉内に力を抜けと合図すると、杉内は左手を大きく上げ、ひとつ深呼吸をしながら脱力した。
『オーーーにしおか、オーーーつよし』
凄まじい応援の中、ボール先行のカウントツー・ゼロから、杉内は二度、阿部のサインに大きく首を振ると、全身の力を振り絞り阿部のミットに直球を投げ込んだ。
「ストレートや、いけ、西岡!」
杉内の指先から放たれる内角高めの豪速球。西岡は溜まらず仰け反ったが、意に反して体が回転し、その反動でバッドの先が飛び出てしまった。
ガツッ…。
バッドの根元に当たり、鈍い音を立てながら力なく舞い上がる白球。
「あかん、詰まったか」
思わず掛布は目を覆ったが、鈍詰まりの打球は予想外に伸び、セカンドベース上の亀井の頭の上をフラフラと越えていった。
「ポテンヒットや! それ、抜けろ!」
願ってもない、打球は誰もいないセンターに落ち、そのまま広い外野グラウンドを転がっていったのだ。
「長打や、回れ、回れ!」
ボールが転々としている間に、西岡は俊足を飛ばして二塁に向かい、三塁ランナーはホームへ悠々と生還した。
続いて一塁にいた上本も、一気に三塁を回ってホームに突っ込む。
漸く打球に追いついた右翼の高橋由伸が内野に返球すると、それを亀井が中継カットし、強肩亀井から糸を引くような本塁返球が放たれた。
ギリギリのタイミング、一か八かの判断で、上本は追加点を狙い懸命に駆け抜ける。
そして次の瞬間、上本が体を捩らせながらうまく阿部のミットを掻い潜ると、主審は勢いよく両手を水平に広げた。
「セーフや!」
間一髪、見事上本が生還すると、甲子園球場はこの日一番の盛り上がりをみせた。
阪神側ベンチ前で、好走塁をみせた上本を称え選手の輪ができる。
二塁の西岡は、ほれ見たものかと拳を上げ、轟々と鳴り響く六甲颪に応えた。
奇襲守備シフト失敗。
原監督は再びマウンドに歩み寄り、杉内からボールを受け取ると、力なくピッチャー交代を命じた。
ベンチに引き下がる杉内に対し、阪神ファンからは「ざまぁみろ」の野次が飛び、一方レフトスタンドの巨人ファンは、負けを確信しゾロゾロと球場を後にした。
「かっかっか、なにやってんだよ。原監督はアホですね」
掛布は顔を赤らめながら笑うと、さも愉快そうにビールを一気にした。
試合の流れが阪神に引き寄せられ、酒が進む。
勝利を確信した掛布は前のめりの態勢を戻すと、余裕な素振りで膝を伸ばした。
その後、阪神サイドは、投手能見に代えて代打今岡を送ったが内野ゴロで凡退。続く鳥谷も三振に倒れ阪神の攻撃は終了した。しかし土壇場での追加点の影響は大きく、この回で阪神ファンは勝利を確信した。
掛布は気分よく晩酌を続けると、目の前に難しそうな顔をして画面を見続けるジョーの姿に気づいた。
「どうしたんすか、もしや読売応援してますの?」
小馬鹿にした様子で掛布が言うと、ジョーはジョッキをドンとテーブルに勢いよく置いた。
「いや、違う」
鈍音が店内に鳴り響く。
掛布は堪らず顔を顰めたが、ジョーがなぜ怪訝な態度を取るのか、この時点で解せ切れずにいた。
「冗談ですよ、そんな怒らんでも」
阪神ファンにとって、読売を応援しているのかと言われるのは最大の侮辱である。
掛布は、自らが軽はずみに発した冗談を、ジョーが本気で受け止めてしまったのではないかと感じ、自省の念に駆られた。
「違う、誰も怒っとらん、さっきお前が言った言葉が気にかかったのだ」
掛布は、ジョーの言う意味が解せず首を傾げた。
「原監督がアホ言うたことですか」
「そうや」
ジョーはビールを一口つけると、改まった様子で語調を変え、次のように語った。
「原監督はアホやない、名将や。リスクを賭けて思い切った攻めに出た。偶々、結果は裏目にでたが、これは次に繋がる失敗だ、可能性を開拓している。ピンチの中でなんもせんで黙って眺めてみている監督より、自らの保身を捨て、大胆な行動に出た原監督は幾分マシや。イチかバチかの場面で、失敗したら全て自分の責任になるのを承知で、このような奇襲に出たことを、選手たちは誇らしく思うだろう」
そんなことか、と掛布は適当に流して聞いたが、酒に酔うと説教癖のあるジョーは止まらずに続けた。
「巨人という常勝球団を率いて、負ければ批判が殺到する中、原監督はうまく立ち振る舞っている。実際、原監督の任期中の成績は頗る高く、毎年Aクラス入りしているし、一方で若手の育成にも力を入れている。原監督、そして原さんを監督に任命したフロント陣は優秀だ」
八回裏の阪神の攻撃が終わり、先発の能見に代わり抑えの呉昇桓がピッチング練習を始めると、球場は安心からか一旦、静まりをみせた。
ザワザワと鳴る観声の中、スパン、スパンと小気味よく百五十キロのストレートがミットに突き刺さる音が響いた。
「野球も経営も同じや。採用をかけるときは社内でドラフト会議が開かれるし、必死に社員の分析をするもんや。仕事は三遊間を作ってはいけないし、適材適所に人材をポジショニングすることも重要、幼い頃からエースとして持て囃されて育ったピッチャーは、優秀だが自己顕示欲が強く、監督として扱いも気を付けるし、頭の切れる奴は捕手に置くし、また一方で、個人としての成績が悪くても指導者として優秀な奴もおる」
掛布は胡瓜と蕪の糠漬けをつまみにビールを流し込んだ。
ブラウン管の中では、さきほど好返球をみせた亀井のバッドが、呉の低めの変化球に空を切った。
「ピンチの時の采配は勝敗に物言わす。第七十八回夏の甲子園大会の松山商業の奇跡のバックホーム、あれは名将澤田監督が、もともと捕手で強肩の矢野を右翼に置き、ライト方向の浜風が打球を押し戻すことを想定するなど、入念な下調べから成し得た業や、単なるまぐれやない」
野球も経営も、外的要因をうまく捉え、先読みして行動することが必要。でないと時代に遅れ、他社との競争に勝てないと、過去の甲子園大会を引き合いにジョーは仕切りに力説した。
「市況を読んで適材適所に人を置く、時には大胆な采配も必要。保身に走って経験を積まん経営者はいつまでも成長がないのや」
ジョーは再び勢いよくジョッキを置くと、「大将、おかわり」と豪快に叫んだ。
「―ワシの名前は城山丈一郎。人呼んで人事部のジョー、よろしくな」
城山がこの四月、人事部に移ってきたときの評判は最悪だった
作業着姿に胡麻塩頭、とても本社部門の役付きに相応しい見てくれでなく、女子社員の多い人事部フロアでは、城山の姿は浮き立っていた。
しかしジョーに対する非難の理由は、決してその身形によるものではない。
「作業着を着るために大学を卒業したわけではないという顔をしているな」
ジョーはやり手だが、傍若無人で、少々乱暴過ぎる帰来がある。
現場からの叩き上げというだけあって、机上の空論を嫌い、思い立ったらすぐ行動に移すスピード感がジョーの持ち味だが、その速度に付いていくことが出来ず、音を上げる社員が大半を占めたのだ。
「いいか、安徳工機の前年度業績は赤字。首位のジョイックスに大きく水を空けられている。海外展開の遅れ、魅力のない商品企画、開発予算の見込み違い…、敗因は諸々あるが、人事的にいえば、時代遅れのマネジメント、これが一番の問題や」
安徳工機は横浜に本社を構える総合機械メーカーで、本店工場は同社発祥の地でもある岐阜にある。
売上高一兆円は首位のジョイックスに次ぎ業界第二位であり、近年はその差が顕著に開いていた。
もともと日本三大財閥のひとつに数えられる安徳財閥であったが、戦後財閥解体とともに分離独立した。当時は船舶、軍需製品を主力とし、後にプラント、電車の製造開発、そして近年は家電など一般消費財から重電部門と幅広く経営を展開している。
ジョーは、人事部長として出勤初日、フロア全体に響き渡る声で持論を展開したが、あまりの唐突な印象に、社員誰しもが顔を顰めたのである。
「人事の基本は三年でローテーション、例外はない。これがワシのマニフェストや。マニフェストは単純明快な方がいい。シンプル・イズ・ベスト、これ以外にない」
ジョーの所信声明は至極、明快かつ手短に済まされた。
経営は誰もが簡単に理解できる単純なものが良い。
多少、乱暴なやり方でも、改革を押し通さなければ、日本に未来はない。日本企業特有の摺り合わせ精神を続けていては、グローバル競争に遅れることを、ジョー自身がよく理解していたのだ。
「人事の基本は、人をどう使うかだ。株式会社ってのは、従業員を駒としか考えん。会社には把握できんくらい多くの種類の仕事が存在するが、すべての仕事をマニュアル化し、誰でも出来る状態にする。職人気質は許さない。個人の能力に依存しない仕組みを作る。従業員は機械の一部、誰がやっても結果は同じ、これが理想や」
当時、老舗メーカーの安徳工機では従業員の高齢化が課題となっていた。慌てて新卒採用を進めたものの、中堅世代の空洞化が起こり、技術の伝承もうまくいかず、世代間のコミュニケーションが難航していたのである。
属人化が進んだ仕事をいかに若手に分配するか、社内的に急務となっていた。
一方、製造現場から地理的に離れた横浜本社では、理屈で物を動かそうとする社員が多い。
製造業でありながら現場を知らない社員が、机上の空論で会社の方針を決めている。
違う、事件は現場で起きているのだ。
それゆえにジョーは、三年でローテーション、つまり人員が偏らないように、全社員を定期的に工場に配置するよう提唱したのである。
その対象は年齢、性別に限らず、全社員に及ぶ。
当然、本社で温室栽培された社員からは非難轟々の声が上がった。
「だいたいなんだ、この低落した本社の有様は。若い社員が昼間っからカフェで談笑だの、古株が窓際で競馬だの、挙句の果てに課長は海外出張で阿保んだらの部下共を野放し状態かい」
安徳工機は岐阜発祥の総合機械メーカーであり、本店工場をはじめ主要な事業所はすべて岐阜県内に集約されている。
横浜にある本社は、あくまで首都圏に管理部門を配置するという目的であって、実際にここでモノが造られているわけではない。
しかし土地柄、従業員の多くは岐阜の田舎よりも横浜で勤務することを希望し、一度、横浜本社で働いた者は、二度とこの場から動きたくないと、断固、異動を拒否するのだ。
本社勤務の人事部が全裁量権を得、自分たちに都合の良い待遇を用意し、実際にモノづくりを行っている岐阜県内の事業所には臭い仕事しか与えない。現場叩き上げのジョーにとって、これ以上に屈辱的な配置はなかった。
「現場を知らんでよく仕事など語れるわ」
ジョーは早速、全管理職を会議室に集めると、夜通し改革案を出し続けたのである。
「今後、この会社の人事裁量権はワシが一手に受ける。ワシの逆らうものは言語道断、即左遷する」
ジョーは、廃止された工場実習の復活、三年ローテーションを基軸とした配置転換、また形骸化した採用活動の改革など、次々と政策を打ち出し、すぐに実行するよう命じた。
あまりにも急な展開に、顔を皺ばむ管理職も少なくなかったが、「上司に楯突く部下は鉄拳制裁、意思決定は上意下達が原則」と謳うジョーに、反論できる者はいない。
「現場実習を実施させるとともに、全社員を対象に工場への配転を命ずる。僅か三年の実習も耐えれん輩が、今後の会社員生活を無事に過ごせるとは思えん。だいいちここは製造業や、モノづくりの現場を知らんで仕事などできるか、工場で働くんが嫌なら最初からメーカーに入るな。銀行か商社にでも行け!」
ジョーは怒号を鳴らすと、工場への配転対象をリスト化させ始めた。
また「グローバル化、ダイバーシティ、ワークライフバランス」などと嘯いて実態の伴わない採用活動は、後で化けの皮が剥がれるとして廃止した。
このように、ジョーは本社人事に大鉈を振るったため、社内での評判は地に落ちたが、一方で本質を知る現場社員からは支持され、徐々にではあるが、社内での統率力も高まっていくように見られた。
―試合は結局、そのまま阪神が勝利した。
甲子園では六甲おろしが鳴り響き、土壇場で誰もいないセンターフィールドに打球を飛ばした西岡がヒーローインタビューのお立ち台に上がると、皮肉を込めて発言した。
「打ち損じかと思いましたが、良い所に打球が飛んでくれて良かったですよ、なんせ外野が二人しかいませんでしたからね、がっはっは!」
西岡が云うと、原監督は罰が悪そうに頭を掻きながらベンチ裏に姿を消した。
時刻は夜十時を過ぎている。
金曜夜、アルコールが回ったジョーの舌にも拍車がかかる。
「かの有名なゼートクは言った。軍隊では、馬鹿で真面目な奴が一番使えない、これは会社組織でも通じる」
ジョーの経営談義は延々と続き、かれこれ三時間近く持論を展開していた。
一方の掛布は、酒に酔っているためかジョーの言葉など耳に残らず、ほとんどジョーの独り漫談と化していた。
「いいか、会社という組織はトップには優秀な人間が求められるが、下々は歩兵でいいのだ。事務員、作業員に東大卒は要らん、どうせ採用しても物足りなくなってすぐに辞める。組織を戦場で例えるならば、社員は死に駒、経営陣が優秀であれば戦に勝つ。多様性など嘘方便」
ジョーはクダを巻くと、座席近くの本棚に置いてあった週刊誌を手に取り、最後のページに記載されていた血液型占いの欄を見て、言った。
「人間はある指標をもとに幾つかのタイプに分けることができる。例えば、人間は血液型で四タイプに分かれる。自己中心的なB型と、真面目で勤勉なA型と、組織を重んじるO型と、二面性を持つAB型―」
酔っ払いの虚言など露知らず、週刊誌の表紙を飾るグラマラスなグラビアアイドルを見て、この後、曙町にでも繰り出そうか、などと掛布は淡い想いを巡らせた。
「四つの血液型と、これに加えて個人のポテンシャル、つまり潜在能力が加わる。優秀なB型とそうでないB型では、当然、優秀な方がいいな。じゃあ優秀なB型と優秀なA型だったら、どっちを採用する?」
唐突に質問を投げ掛けられ、一瞬、掛布は戸惑いを見せたが、然も面倒なものをみるように応えた。
「難しいですねぇ、私ならA型を選びますかね」
掛布が適当に応えると、ジョーは頷き様に言った。
「うむ、この場合は両者、採用の可能性がある。しかしポストに依るだろう。自己を重んじるB型はプレイヤーとしては優秀だが、単独行動を好むため部下を持たせると組織が途端に崩壊する懸念がある。つまり、業務の最前線に置いてどんどん市場を拡大するポストを用意した方がいい。一方、真面目で面倒見がいいA型は組織の長に向いている」
B型のジョーは真剣な顔をしながら自らの運勢をみた。
六月の運勢…『B型のあなた、人付き合いは波風を立てず、ぐっと堪えましょう。一方、異性とのコミュニケーションはうまくいくはずです。気になっている異性がいれば、思い切ってアタックしてみましょう』
ジョーの表情は、僅かに綻んだ。
「なにニヤけてるんですか、気持ちわるいな」
「オホンッ、では気を取り直して次の質問、優秀でないO型と、同じく優秀でないA型、会社にとってどちらを採用するのが有益だと思う?」
「むう、これも難しい質問ですな」
掛布は笑って誤魔化すと、やはり適当に受け流した。
「これは答えが明快じゃ、必ずO型を採る。優秀でないA型は、つまり真面目な馬鹿だ。ゼートクの理論にもある通り、勤勉な馬鹿は組織の中で一番使えない。勤勉な馬鹿はプレイヤーとしても結果が出せないし、マネージャーとしても部下を潰すことになる。誤った知識をさも正論のように部下に植え付け続け、気付いたときには時既に遅し、組織ごと崩壊させる懸念がある」
「ほう、名推理ですな」
年甲斐もなく血液型で人間性を判断するジョーの戯言を傾聴するはずもなく、掛布は片肘をついて調子を合わせた。
「となると、総じてO型は有利ですな。逆にB型は不利」
短絡的な掛布の発言に対し、B型のジョーはムッとして応えた。
「そう物事を端的に捉えてはならんのだ。B型で優秀な奴は、業界の第一人者となることができる。会社を辞めて自力で事業を興すことも可能だろう。社員個々の能力や性質を見極めることが人事の仕事だ。それぞれ得手、不得手があって、それらを見極めながら、適材適所に配置してやるのが我々の役目。人を見る目がない奴は人事には向かない」
二人が血液型論に華を咲かせていると、年若い女性店員が追加のビールを運び、二人のテーブルにやってきた。
「生二丁です」
「おう、ありがとうね」
掛布は満面の笑みで店員を見つめると、嬉々としてジョッキを受け取った。
女性店員は今時珍しい化粧っ気のない素朴な笑顔を振りまくと、愛想たっぷりに去って行った。
「いやあ、可愛い店員ですな」
「鼻の下を伸ばすな、気持ちが悪い」
掛布はジョーの下らない経営談義など耳を貸さず、女性店員の尻ばかりを追いかけていた。
「お前は女に弱い」
そんな掛布とは対照的に、ジョーは女性店員になど脇目も振らず、難しい顔をしながら黙々とジョッキを傾け続けるのであった。
「しかし、あの子、よくみて見い。肌の色艶からして案外、若いぞ」
ジョーは店員に一瞥をくれると、何やら品定めでもするような、賎しい目つき言った。
「彼女、いくつだと思う?」
「うーん、二十代前半といったところですかね、いや後半かな」
「甘い、おそらく十代だ」
「まさか…」
掛布は、再び片肘を付く体勢になると、御新香を箸でつまみ上げ、口に放り込んだ。
「じゃあ部長、懸けましょう。あの女性店員は何型だと思いますか」
ジョーはジョッキを口に付けながら悩んだ。
「じゃあ、お前はどう思うんだ?」
「O型かな」
「根拠はなんや」
「何となく、ですかね」
「何となくじゃつまらんだろ、ちゃんと彼女の為人から推測しなきゃ。お前は人を見る目がないな、人事失格だ」
結論のない会話を続けた後、暫くして掛布は、再び女性店員を呼び付けた。
先ほどと同様に店員は愛想を振り撒きながら二人に近寄ると、注文とともに話しかけた。
「ねぇ君、名前は何て言うの?」
掛布が鼻下を伸ばして問うと、「かな子です」と店員は応えた。たしかに胸元には「かなこ」と手書きで記された名札があった。
「今、血液型占い見てたんだけど、君の血液型を当ててみようかという話をしていたんだ」
酔っ払いの絡みに窮することなく女性店員は笑顔で対応し、話題に乗った。
「そうなんですか、私、何型だと思いますか」
店員は屈託のない笑みを浮かべて言った。
すると徐に「当ててやろう、A型や」とジョーが言うと、店員は驚き様に、
「すごい、正解です。なんでわかったんですか」
と、もともと円らな目を、さらに丸くして驚いた。
「ほんで君、年はまだ十八かそんなもんやろ」
「そうです、十八です」
見事、血液型当てクイズに正解したジョーを、掛布は大袈裟に拍手して称えた。
「凄いな、城山さん。なんでもお見通しじゃないですか、なぜ分かったんです?」
顔を赤らめ、話半分も聞く素振りを見せなかった掛布だが、ジョーがあまりに落ち着き払った様子で血液型と年齢を当てた為、掛布は回答の真意を聞きたくなったのだ。
「まず、年齢を当てるのは簡単だ。若作りしていても、肌艶で大体分かるからな」
ビール党のジョーは、この日五杯目のジョッキに口を付け、粛々と語り始めた。
「大声で言いたくないが、水商売の店で姉ちゃんの年齢をよく当ててるからな。だいたいこの子くらいの年齢はすぐ分かる。水商売は大概、二つ三つ年齢を誤魔化してるからな」
かな子は一瞬、顔を顰めたが、掛布は赤牛の如く首を縦に振り相槌を打った。
「うむ、酷い所だと三十代後半を二十五歳なんて偽ってる店もありますからね」
「ああいうのは警察で取り締まればええんや、ほんまに」
「それで、年齢はともかく、なんでA型って分かったんですか」
かな子の質問に、ジョーは一瞬の溜息の後にこう応えた。
「人当りや」
「人当り?」
「ああ、人当り」
ジョーはジョッキを飲み乾すと、トンと乾いた音を立てながらジョッキを置いた。
「ワシらみたいなヘベレケによう話すやろ、君みたいな子は生真面目なA型かと思ったのや」
かな子は、「生真面目なんて、そんな、ありがとうございます」とやはり愛想たっぷりに言った後、二人の席を発っていった。
一方、掛布は、そんなことか、と内心思いながら運ばれてきたビールを口に付けると、ジョッキ越しにジョーの顔が映った。
「あの娘。キャバクラじゃあるまいし、あんな気さくに振る舞うなんてサービス良過ぎるやんな。うん、よく出来過ぎている。あれはつまり、接客して客に喜んでもらっとるというより、接客してる自分の姿に酔うとるんや」
「他人によく映りたい、ということですかね」
二人は顔を近付け声調を落した。
「まあ、そんな所や。ほんで思ったんや、B型だったら、そもそもあそこまで相手を盛り立てる話し方が出来んから、まずB型やないなと思った。O型は異性、特にワシらみたいな年配に対してあそこまで態度よくせんやろ。O型は比較的浅く広く人間関係を持つもんやが、一人一人に対してはそこまで深く入り込まん。だからO型もないと思った」
掛布は、城山推理を、固唾を飲んで聞き入った。
「ABとAの区別は難しい。そもそもABはサンプルが少ないから、判断材料がない。正直、Aは山張った、でもAが混じっている確信はあった。根拠は年齢や。あれが十八やなくて、二十代半ばくらいやったら分かんなかった」
「どういうことです」
解せない、といった様子で掛布は答えを煽った。
「考えてみい、自分が十八位の頃、こんな爺客ばかりの薄汚い居酒屋でバイトしようなんて思わんかったやろ」
「ええ、酒も飲めない年齢の頃、居酒屋で働こうなんて発想は湧きませんね…」
「せやろ。ほんで、今、何月や」
「何月?」
掛布はワイシャツの袖を捲り上げると、水滴のついたビールジョッキを見つめた。
蒸し暑い梅雨時、店内は冷房が効いているが、アルコールのせいで顔が火照り、とても居心地が良いとは言えない。
掛布は茶色く煤けたカレンダーを見つめると、焦らされるのを嫌うように言った。
「なんでそんなこと聞くんです。六月ですよ、今は六月」
「ほう、六月や。じゃあ次、あの子のバッジ見てみい。社員やろ、アルバイトやない」
「ああ、たしかに!」
かな子の胸元には、名前の記された薄青色の社員証が光っていた。
他のアルバイト店員は、社員証がない。
ジョーはこの短い時間の中で、女性店員のかなり細かい部分までを観察していたようだ。
ジョーはさらに続けた。
「十八歳ってことは、高校卒業して、就職して、未だ二ヵ月ぽっちしか経っとらんのに、あの対応や。否、もしかしたら高校すら行ってないかも知れん。なのにあれだけのコミュニケーション力を兼ね備えている。はっきり言って大人顔負けや。少なくともこの二カ月間の研修で身についたものではない、あれは持ち前のコミュニケーション力やろう」
「そう言われてみると、確かに他のお客さんにも丁寧にお酌して、笑顔で対応してる。大したもんだ」
かな子は隣席の酔っ払い客に対しても嫌顔ひとつせず笑顔で注文を取っていた。
「年は幾つ?」、「彼氏はいるの?」、「どこに住んでいるの?」…云々、私的な領域にズカズカと踏み入る無礼客を笑顔で許容する応対力。その様子は実に頼もしくも見えた。
一方で掛布は、かなり酒に酔っていながらも、ジョーの推察力に甚だ驚きを隠せないでいた。
やはり百戦錬磨の人事部のジョー、大卒の役付きが多い安徳工機において、現場叩き上げで部長にまで上り詰めた男である、只者ではない。
「でも奇妙やろ、今どきの若いもんが、普通、あんな風に対応できるか?」
ジョーは、口髭についた白い泡を手で拭うと、難しい顔付きでジョッキを一点に眺めながら、神妙に語った。
「あれは無理して笑顔作ってるようにしか思えへん。ここからはワシの単なる推測じゃが、過去に何か嫌な出来事があって、まるでそれを掻き消すように偽りの笑顔を作っているのではないか。だから、いちいちオーバーなリアクションなんやないか。じゃなきゃ、ほんまに単なる阿保や」
「ちょっとそれは考え過ぎじゃないですかね」
掛布は、疑るような目つきでジョーの方を見た。
「きっと幼少の頃に家族を失ったとか、家庭が破産して働かざるを得ない理由があるとか、もしかしたら子持ちかも知れんぞ」
「まさか…」
「いやぁ、あり得るで。そう思うと、可愛そうになってくるやろう」
内容とは裏腹に、ジョーは昂奮気味に言った。
掛布は改めて店員の方を見ると、その表情には僅かに陰りがあるようにも見えた。
しかしそれが先入観によるものなのか、それとも本当に過去に陰翳を抱えているのか…、この時点では推測の域を出ない。
「手首見たか、もしかしたら傷痕あるかもな」
「ちょっと! 冗談が過ぎますよ」
饒舌に語るジョーを制するように掛布が云うと、それを受け、ジョーは溜息混じりに話題を変えた。
「残念ながらうちの人事はクズだ。上場企業の中には、人事部に一番の出世頭を置く会社もあるが、うちは逆だ。設計や営業といった花形部署でやっていけなくなった間抜けが、最後の行き着く先として人事を選ぶ。今の安徳工機の人事には馬鹿ばっかり揃っている。覇気がなく、攻めの姿勢がない。本来、大会社では人事が一番しっかりしていないといけないんだが、機械メーカーってのは、皮肉にも、製品自体が黙っていても売れ続けるから、人事が仕事をしなくても会社は潰れることはない。そう思って会社におんぶにだっこの社員が、まあ多いこと―」
野球中継を終え、古びたブラウン管のテレビからは週末の天気予報が報じられている。
梅雨時らしく列島には前線がまとわりついており、この週末も関東地方は雨の予報である
ジョーは、テレビの内容に気を取られることなく、十時を過ぎて尚、女性店員にちょっかいを出し続ける隣客を一瞥しながら、テーブルに両肘を乗せ顔を突き出し、なにやら隠し事を打ち明けるように声を潜めて言った。
「話が変わるが、会社が斡旋してる低金利住宅ローンってあるやろ」
「ええ、よくエントランス前で配布している―」
「あれはな、会社がある種の担保となってローンを斡旋させる代わりに、従業員に安い金利でローンを組ませることができるんや、また銀行にとっては、大企業の社員ってのは大口客となるため、ウィンウィンのやり方なんやが、実は会社側にも大きなメリットがあるんや」
突如、声のトーンを落としたジョーを見て、何事かと掛布も同様に声を潜めると、片方の眉を斜めにひしゃげながら問うた。
「ほう、会社側へのメリットとは、つまり、どういったメリットなんでしょう」
「つまりな、従業員の資産情報が人事に筒抜けなんや」
「なるほど…、で、それが何故、会社のメリットに?」
掛布は、その理由が解せない、といった様子で首を傾けた。
「お前は本当に理解が悪い奴やのう。誰が、どの位の借金を背負っているか、従業員の資産情報を掴んどくのは人事にとって重要な仕事やで」
安徳工機では、昼休みになると食堂棟やエントランス前に保険レディ、不動産営業や銀行員が立ち並び、社員に営業活動をかけるのが日常的な光景となっていた。
ジョーはそんな営業マンを引き合いに出し、次のように説明したのである。
「安徳工機の人事の鉄則は、ローンを組んだら即転勤、即出向。サラリーマンにとって配置転換は付き物や、ずっと自宅に住める幸運な者もいれば、家を買った瞬間に出向の対象になり、家族と一緒に暮らすことも出来ずサラリーマン生活を終える者もいる。悲しいかな、家を買うほどの安定した収入を得られる三十代後半位が、一番配転に適しているのじゃ。三十も後半に差し掛かれば転職の恐れはないし、会社に文句が言えんようになるから、バンバン転勤させるし、バンバン出向もさせる」
大企業の人事ほど興味を惹くものはない。辞令交付前ともなると、やれ、誰が飛ばされただの、誰が降格したなどと、ネガティブな噂が飛び交うものである。
特に、配置転換を伴う辞令には、社員皆が戦々恐々とその行末を伺っており、子会社への出向、地方への転勤を言い渡された日には、阿鼻叫喚の雨霰が吹き荒れるのだ。
ジョーは、人事部長たる、人事を司る役職の中でも最高位におり、その匙加減ひとつで社員の運命を変えることが出来てしまう。
「我社の場合、岐阜に本店工場があるから、岐阜に家を買うのが賢明だが、中には洒落た欲を出して、本社のある横浜に家を建てよる社員もおる。安定して本社勤務が出来るのは、役員か人事裁量権を握る部長級以上で、一般従業員など岐阜に家を建て、老後も岐阜で余生を過ごし、岐阜に墓を買い、大半は岐阜で死んでいくのじゃ」
テレビ画面からは、野球中継が延びたことにより、後続のバラエティ番組が中止になった知らせが報じられた。
十時を過ぎた野毛小路は、千鳥足で街中を彷徨う酔者の姿も目立ち始めた。
「そもそも、何故、ローンを組んだ瞬間に僻地に飛ばすんでしょうか?」
掛布は、一連の城山節を聞いた後、素朴に問うた。
「家族と過ごす時間が減ってしまうし、だいいち住宅を買った直後に転勤など、従業員にとってみれば地獄じゃないですか」
「アホんだら! そんなことも分からんのか。貴様、何年人事部におるのや」
掛布は、酔いの回った頭で指折り数えた。かれこれ、人事畠十五年に差し掛かる。
「ローンを組めば、フットワークが重くなるやろ。借金背負った状態で転職は無理や。それに、僻地なんて誰も行きたくないやろ。若い奴に辞められたら困るんや。若手は、転職という選択肢があるし、家族や固定資産がない分、逃げようと思えばいつでも動けるやろ。だからローンを組んで逃げ場のない年増社員を飛ばすんやないか」
「なるほど、情け容赦もない…」
あまりにも残忍な人事の裏事情を聞き、明日は我が身とばかりに、掛布は背筋の凍る思いをした。
「実はな、技術に森本という奴がおるねん。現在、横浜本社で技術指導室におるが、そろそろ三年が経つ―」
長い前置の後、ジョーは、いよいよ本題に入らんとばかりに語調を強めた。
ジョーの言う技術指導室とは、若手技術員の教育を専門に扱う課であり、現場の一線を退いた熟練技術員が多く在籍している。
森本は、今から三年前に技術指導室に派遣され、海外工場の技術員教育を担っていた。
「その森本って方が、今度の出向対象になるって訳ですか」
これまでの話の流れから、掛布は先読みして云った。
「うむ。彼は今年、磯子にマンションを買うたばかりでな、来週、人事面談があるんやが、そこで出向を命じようと考えている」
磯子は、近年ファミリー向けのマンションが多く建設される人気のスポットである。丘陵地に立つ高層マンション群は、東京湾を望む景勝地で、また都心へのアクセスも良く人気を博している。
森本もまた、格安の斡旋ローンを組み新築マンションを購入した従業員の一人であった。
「森本はA型の四十八歳、年齢でいうと、『しらけ世代』にあたる。この年代は、上に団塊世代、下にバブル世代がおって、上司にも部下にも恵まれないため、良く言えば冷静沈着、悪く言えば融通が利かず陰気臭い社員が多い。特に四十代後半ともなると役職も付いて、人によってはメンタルをやられる者もいるから、特に扱い難いんや」
「ちなみに出向というとどちらへ? 下請メーカー、それとも海外?」
ジョーは、宴後のお冷をズズっと飲むと、一息ついてこう言った。
「インドや」
「インド、インドですか…」
インドと聞いて、掛布の背に冷たいものが走った。
印法人のあるハルディアという町は、都市部から離れ娯楽もなく、またインフラの整備も遅れていることなどから、世界展開する同社の事業所の中でも、特に人気がない出向先のひとつであり、インド出向者の多くが何かしらの精神疾患を抱えて帰国するという曰く付きで知られていた。
インドに飛ばされるとすれば、よほど本体で問題事を起こした曲者であると推察されるが、掛布はそれ以上、踏み込んだ質問をする気にはなれなかった。
「今、ハルディア工場で人手が足りていなくてな、現地の生産部長が猫の手も借りたいと言っているのだ、インドは今後、うちにとって生産の核となる重要な拠点なのだ」
安徳工機では、円高の煽りを受け、日本から経営資源を海外に移管しており、今後、現地化がより進む方針である。
特にインドは現地に優秀なエンジニアも多く、生産拠点として注目を浴びていた。
「次の人事面談はワシにとって大一番になる」
ジョーはそう言って席を立つと、二人分の会計を済まし、颯爽と夜闇に姿を消した。
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