しまなみ讃歌

ぐるぐる渦巻き潮の道

小さな舟がちらほらり

見て見て小さな風景画

ここから見る景色は整っている


展望台へ続く階段を上ったら

淋しがり屋の風が待ち構えていて

シャッターチャンスを探す僕の頬にじゃれつくから

マフラーをもう一度しめなおしてしまう


目の前に広がるパノラマは僕だけの宝物

この指定席から僕が眺める間だけは

隣では恋人たちが楽しそうにはしゃいでる

幸せな彼らにはどこだってパラダイスになるね


今日も気持ちよく晴れたから

ここから見える景色はきっとみんなも気に入るよ

前はよくこの景色を眺めに旅人がよく訪れていた

あの頃の賑わいが今ではまるで夢のようだけど


目の前にそびえる大きな橋

足元の海流なんか知らないふりで

車もまばらなその景色

世界一がもったいないよね


定期便がゆっくり通り過ぎていく

微動だにしない島の景色に船たちだけが

この景色が風景画でない事を教えてくれる

展望台から見えるそれはまるで映画のワンシーンのように


道はずっとずっと続いている

海を貫いて

島を貫いて

視線を上げれば青い青い空と白い雲


気まぐれな風は今どこで遊んでいるのだろう

木の葉が背後でひゅるりと踊る

視線を感じて振り返ってみたけれど

そこに広がっていたのはやっぱり蒼の世界でした

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