冷たい水の気配

冷たい水に手を浸して

その冷たさが体中を駆け巡る

まるで電気が走りまわるみたいに

水温より気温の方が低い季節


吐く息も白く

遠くの山も白く

それでも日は輝く

青空はまるで空に浮かぶ湖のように


何もない日常を泳ぐように暮らす僕ら

ぶくぶくと泡を吐いて何かを取り込んでいる

仕事と言う名の暇つぶしを今日も楽しもう

ほら、働いただけ生活が豊かになるよ


揺れる川面に歪んだ景色が踊ってる

ゆらゆらゆらゆらゆらその姿を保ってる

まるで深い眠りへ誘う催眠術のように

ずっとそれを眺めていると意識が遠くなってくる


体の中には川が流れてる

心の中にも川は流れているのだろう

流れは循環する定めを持って流れとなり

ならば人の流れは一体どこに繋がるのか


水は全てを溶かすから

この浸した手からも何か溶け出している

付着した汚れと体を構成する何かと

溢れ出した過剰な感情のエネルギーなんかもきっと


冷たい水をのどに流し込めば

駆け巡る冷気は心を鎮め

乱れた気持ちは落ち着いて

心情は正しい方向にリセットされる


やわらかくてやさしい水をグラスに注いだまま

窓から射す光をそこで遊ばせよう

小さな精霊たちはガラスの中で無邪気に遊んでる

落ち着いた風景に静かな音楽が流れてくるようで


清浄な水は全ての穢れを洗い流してきた

今までも そしてこれからもずっと

それは生命育むこの星を包み込む奇跡

願わくばこの永遠がずっと続きます事を

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