繰り返す悪戯な雲

迷惑メールを削除するような毎日

何も考えられずにはいられなくて

うまく撮れない夜景を撮ろうとあがいてみたりして

まるで闇夜のカタツムリだね


のそのそっと暗闇に紛れてる

どこまでも続く深い闇

街灯もまばらな田舎の峠道

車も途切れた22時


手探りで歩くよ

電気の紐を捜すような滑稽な仕草で

もうみんなとっくにゴールしているんだろうな

僕はまたひとつ落とし穴に落っこちてる


月が表れたり隠れたり

きっと悪戯な雲が遊んでいるね

昼間は中々の風景のここも

この時間はみんな同じ黒い服を着てる


窓から見たっていいんだよ

どうせおんなじ色だから

でもその場所で感じる空気

やっぱり考えるのと感じるのとは違う


夜の海の浜辺で

賑やかさと無縁のここで

最後はここで波の音を聞く

全てが静止したこの場所で


ざざーん

ざざざーん

ざざざざーん

そして沈黙


夢の中でさまよっているみたい

心の中のガラクタが歩くたびにこぼれてく

ついでに大事なものも落としてく

いつの間にかシンプルな入れ物


気がついたら月が見ていた

じっとじっと見られていた

僕はカメラを取り出してそれを収めようとする

すると決まって雲がそれを邪魔するのだ


ざざーん

ざざざーん

ざざざざーん

そして沈黙

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