思い/僕

途切れる。

音もなくふいに

風向きが変わるように「思い」が

途切れる。

リセットでもするように。



それまで僕は

悲しかったんだろうか。

それとも楽しかったんだろうか。

見直してもまったくわからない。

通りすがりにサイレンでも聞いたように

すぐ忘れる。

きっと「思い」を落としてしまったんだろう。



顔を上げると

君が泣きそうな表情で僕を見ている。

どうしたのって問えば

声もなく涙を流し、僕をやさしく抱きしめてくる。



どうした?

僕はこのとおりなんでもないよ。

ええっと…たぶん。

だから泣かないで。



君への「思い」も

ふいに落としてしまうんだろうか。

落としたくないな。

そう思う。

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