詩集

@aptorojp

 夜

電気を消した部屋の隅で

流れる時の音だけを聞く

淀んだ夜が ぼくらの体を重くする

だからまた 星のまたたく空を忘れて

心が ひりつく過去を巡るだろう


いつからか 夜がこわくなった

いつからか 暗闇で溺れるようになった

いつからか 自分と向きあう時間ばかりが増えた

夜が全てを呼んでくる

そうやってぼくらは怯えるんだ


それでもいつかは気づくべきなんだ

どんなに夜から逃げようと

どんなに夜を嫌おうと

夜はぼくらを嫌ったりしないことを

夜はまた ぼくらを静かに迎えてくれることを

夜は全ての優しい夜なのだと

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る