第19話 使い魔の秘密

 「なあヒナ、使い魔ってペットみたいなものなのかなあ、俺の勝手なイメージだけど」

「あたしもその辺は良くわからないけど召喚するのであれば精霊に近い気がするけど」

 まあ、俺たちの知識は、ゲームレベルだった。


「せめて知り合いに召喚士でもいればいいんだけどな」

「そうだね、お兄ちゃん。でも召喚士なんて難しい職業そうそういる訳ないよ」

「困ったなあ、どこかに可愛くて優秀な召喚士いないかなあ」


「「ねっ、アリサっ」」

「ショウカンシってナンデスカ」

 アリサはついにロボットキャラになった。

「アリサは、召喚士なんだろ、どうして隠そうとするんだい」

「アリサってダレデスカ」

 ついに自分の名前も忘れたらしい。


 やれやれ、しょうがないか

「すいませーん、何か貴重な本が破れて……」

「ゴ、ゴメンなさい、お兄ちゃんさん」

 アリサは、慌てて言った。

 てか、お兄ちゃんさん、ってなんだ


「アナタはダレデスカ」

「ハイ、ショウカンシのアリサデス」

 整備は、成功したようだ。


「召喚士は、皆ミステリアスな存在でいたいんですよ。スタイルが大事なんです」

 結構めんどくさいようだ、召喚士


「その割には、図書カードに召喚士アリサって書いてあるけど」

「えっ⁉︎」

 素で驚くなよ!


 「アレスの書については、内容は大体把握しています。黒の使い魔に関しては、該当するモンスターを当てはめれば答えは出るはずなんです、兄者さま」

 最後の呼びかけいらないだろ。


「アレスの書の黒き使い魔の特徴はこんなに感じになります」


 そのもの黒き翼を持ちて地を駆け水鳥のごとく水中を自在に躍るものなり砲弾の体躯に白き様相を彩りてその鋭き嘴は敵を穿つであろう


「ピコックじゃないよな。水中を泳げるか知らないけど」

「ピコックは、水中を泳げないよ。アニキっ」

 アリサが、答えた。もう名前で呼んでもらった方がいい。


「あたしは、グリフォンに近いかなと思ったんだけど」

 ヒナが言った。


「地を駆けるから地上がメインの気がするんだよな、俺は」


「砲弾ってところ、メカ的な感じがあるよ。古代兵器とか」

 もはや生物ではないぞ、ヒナ


「アリサ的には、カッコ良ければいいと思うの」

 もはや希望だし、的ってなんだ。


「なんかペット屋で買えたりしないかな」俺の意見に皆んなで楽しそうに笑った。


 俺たちは、活発に意見を出し合い楽しい時間が過ぎて言った。


「ダメだろーーーっ‼︎」

 これじゃあ、まったくラチがあかない


 もっとイメージ湧くように条件を絵にしてみることにした。


「う〜ん、どう思うヒナ」


「これアレだよね、お兄ちゃんっ」


「やっぱ、アレだよなっ」


 俺の絵がアレすぎてまったくわからなかった……すまん。


「カイゼル・ソウル」

 絵を覗き込んだアリサが言った。


「えっ、いるのコレ?」


「すごく良く描けている、お兄さま」

 結局、お兄さまに落ち着いたらしい……


「黒き疾風 カイゼル・ソウル」

 アリサは、ふたたび言った。


 俺は、まだ見ぬ使い魔の姿に思いを馳せるのであった……


 今はまだ危険な旅の幕開けになるとも知らずに

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