第8話 唐突に思いつくこともある
程昱の進言を破棄にした曹操であったが、彼の胸の内には野望の
その芽は日を重ねる毎に育ち、実を咲かせんと心の中でうねっている。
程昱を黙らせた後、一人、
「―――そうだ。
彼は何の前触れもなく思い立った。
『天からアイディアが降って来た。』という例え言葉が当てはまるほどに、彼は唐突に思いついたのである。
この彼の思いつきは直ぐに実行された。
「帝!一狩り行こうぜ!」と曹操が帝に
決定!
ワンワンワン!と犬が準備され、
キーキーキー!と鷹が準備され、
どうもどうもどうも!と人間が準備された。
もちろん、曹操、帝、両名のお気に入りである劉備も
狩猟のために集められた
狩り当日。
その日の天気は快晴。
雲一つない絶好の日よりである。
騎馬歩卒などの隊列は、延々と宮門から洛内をつらぬき、その様を一目見ようと、老若男女問わず、様々な人間が
「いやー今日は素晴らしい
上手に準備が出来た曹操はご機嫌麗しゅかった。
『
「春は
「いにしえの帝王たちは、皆、このように民土の風を楽しみながら、その威を天下に示したモノです。」
「玉座に居ては触れぬ風。」
「
いにしえの帝王の娯楽を現帝王に晴れ晴れと教示する曹操。
しかし、彼の教えを聞く帝の顔は曇り顔。
『晴れ顔と曇り顔』
並べて歩む足取りは同じでも、その歩みの重さは各々異なるのであった。
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