【 野良猫 】

   【 野良猫 Ⅰ 】


猫のような男に恋をした 

自由で気まぐれ屋さん

ぷいと何処かにいなくなって 

いつもわたしを心配させる

まるで 野良猫みたいな男なんだ


ふいに帰って来て 泣いてるわたしに

『 君がいないと 呼吸が出来ないんだ 』 なんて

ころし文句で わたしをメロメロにさせる


『 俺は優しくないよ 』って言ったよね

優しくなんかなくていい 

わたしの元に帰って来てくれるなら


暖かいミルクと寝床を用意して 

いつも待ってるから

わたしが愛することを止めれば

それだけで終わってしまいそうな 

儚い恋だけど

あなたがわたしに贈ってくれた 

詩だけは宝物だよ


こんな寂しい想いはしたくないから

今度 野良猫が帰ってきたら 

首に赤いリボンをつけて

銀のゲージに閉じ込めて 

鍵を掛けてしまおう


その鍵はわたしの胸の奥に 

そっとしまっておくよ




   【 野良猫 Ⅱ 】


猫を飼う夢をみた

その猫は黒い毛並みで 眼はブルー

艶やかな野生の猫だった 


恋に積極的なあたしは

いつもフライング 膝小僧から血を流し

その度に 天を仰いで涙をぬぐった


ねぇ あなたのこと聞かせて

何でも知りたいの 声・言葉・癖

ぜんぶ飲み込んで わたしの細胞にする


もう一度 猫を捕まえたくなった

あたしはハンター 今度は逃がさないから

あなたとなら また響きあえるよね


時が来れば 『 あなたの元に行きます 』

メールの文字が嬉しくて 心が弾んだ

冷たい北風の中 ほんの少し春の匂いがした

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