【 風葬 】

白い砂浜から そよそよ吹いてくる

こんな静かな風が 吹く日に

わたしが死んでいくのは相応しい


何も告げずに消えます

今なら 少しは泣いてくれますか?

愛し過ぎた男は 身体だけでは縛れない


風よ わたしの魂魄

愛しい人の元に運んでおくれ



あぁ 優しい風が頬なでる

穏やかな午後 ひとりで逝く

わたしを哀れと想ってくれますか?


いつか 終わる愛の終焉を見たくない

あなたに捨てられる わたしを見たくない

断てない未練で 苦しむのに耐えられない


小さなプライド守るために

小さな命を捨てるのは間違いですか?



かすれいく 意識の中で

あなたの声を想い出そうしていた

ふたりの夜 肌のぬくもり忘れない


砂は風紋を描きさらさらと流れる

わたしの朽ち果てた肉体も やがて

砂塵となり風と共に地上を舞う


風よ この想い魂魄となり

愛しいあの人の心に宿りますように

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