第5話 冒険者ギルド

「失礼しまーす」


 扉を開いて中に入ると、中は結構な人数の人が動き回っていた。

 冒険者認定受付の前には十人ほど行列ができていた。

 ぴったりまっすぐと並んでいる姿に、なんとなく笑ってしまう。

 そして、自分も郷に入っては郷に従う。

 このゲーム、他人に迷惑をかける行為にかなり厳しいらしく、ノーマナーには厳罰を持って処す。とパッケージにデカデカと書かれていた。

 話しかけた人が、シュンと消えていくゲーム的なデザインのお陰で自分の順番はすぐに回ってくる。


「冒険者登録でよろしいですか?」


 髪の長い綺麗な女性のNPCが話しかけてくると選択肢が現れる。

 はい。を選ぶと、周囲の喧騒が消えて個室に転移される。

 

「冒険者ギルドへようこそ。ここでは冒険者として通用するかテストが行われます」


 詳しい説明を聞きますか? という選択肢が出てきたのではい。を選択する。


「まず、この世界の冒険者には数字によるランク付けがされます。0~100までのランクがあり。10刻みにアルファベットが変化します」


Z   100

SSS  99~90

SS   89~80

S   79~70

A   69~60

B   59~50

C   49~40

D   39~30

E   29~20

F   19~10

G   9~0


「アルファベットが変わると受けられるクエスト難易度も上がります。

 細かな依頼でもコツコツとこなしていけばポイントは貯まりますので、どうぞ奮ってクエストに参加してください」


「ポイントと言うのは?」


「ポイント、クエストポイントと呼ばれるものでクエストクリアごとに得ることが出来、一定ポイントを得ることでランクが上がります」


 質問をすると、急に抑揚がなくなって語句説明が始まった。少し怖い。


「皆様には好きな戦闘方法を選んでいただきます。

 直接攻撃型として代表的なものは、両手剣、片手剣、短剣、両手斧、片手斧、両手槍、片手槍、棍、ハンマー、メイス、長弓、短弓、大型機械式弓、小型機械式弓、鞭、杖などがあります。魔法用に魔法本、オーブなどがあります」


 一気に大量のワードを言われてびっくりしたが、ここらへんはヘルプで確認が可能と下に表示が出ている。


「今回は好きな武具を試して頂いて、3匹のフワフワを倒してください」


 その言葉を合図に場所が訓練場のような場所へと切り替わる。

 目の前には名前の通りフワフワと浮いているホワ毛の塊がいる。


「攻撃しなければ襲ってきません。この場ではいくら攻撃を受けても死ぬことはありません。必要ならフワフワを追加しますので申し付けください。

 それでは皆様の奮闘に期待します」


 訓練場にずらりと武器が並んでいる。

 

「弓とか使ったことないぞ……」


 試しに短弓を手に取り構えてみる。きっとゲームだから何らかの動きのサポートがあって、俺でも見事に敵を……


 スカッ


 ヘロん


 まともに矢が飛ばせない……


「まじかよ……そういえばステータスとかはどうなってるんだ?」


 コンソールからステータスを出そうとするが、現在ステータスは表示できませんとなっている。


「自分で使えそうなもの使うのが無難か……」


 ゲームっぽい点は、長剣であっても重すぎて持ち上がらないということはない。

 ただ、攻撃の速度はいくら力を入れてもある一定以上には早くならなかった。


「良く出来てるなぁ……」


 そしてお楽しみの魔法だ。

 杖を装備して魔法を使ってみる。

 魔法を選択すると詠唱ゲージが溜まっていき発動というシステムだ。

 火の玉を飛ばすファイアーボール、氷を撃ち出すアイスシュート、よくある初級魔法を試すことが出来た。


「……思ったより、爽快感がないな……」


 たぶん成長すれば変わるのだろう、そう信じたい。


 色んな武器を試したが、オーソドックスな片手剣と盾という組み合わせがしっくり来た。

 

「よいせっ! ほい! えいや!」


 なんとも情けない声を上げながら、フワフワを倒す。


「お疲れ様でした。この訓練上はギルドの受付からいつでも利用できます」


 場面が変わるとギルドの受付の前にいた。


「おめでとうございます。リュウヤ様。ギルドランクG-0からあなたの冒険者としての旅が始まります。がんばってください」


 ギルドカードがコンソールに表示されるようになる。

 こうして俺は冒険者としての最初の一歩を歩みだしたのだ!

 

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