テーマと裏話【ネタバレ】

 第三部「色紡ぐ音」のテーマは、「色と音」「掟と絆」「仲間と家族」「天使と悪魔」でした。

 各テーマについて詳しく語っていきます。


◆色と音

 第三部では縦軸と横軸に「色」と「音」というテーマを据えて、物語を構成しました。

 「色」はノエル・カッツェ・ヴァイス・レイア・カノアたち各キャラクターを象徴するとともに、それに対応するエリアも表しています。


・ノエル→白(純真)

・ヴァイス→青(冷静)

・カッツェ→赤(情熱)

・カノア→黄と橙(喜び、希望)

・レイア→黒と桃(悪から善への変化・自己)


 このように各キャラクターのイメージを定義し、レイア自身の心境の変化と、レイアから見た他の仲間の印象を描きました。


 第三部で「音楽」に関するタイトルが入っている話は閑話です。

 閑話には、前のシーンか次のシーンの色に関係する色をタイトルに選びました。

 ↓ちなみに参考にしたのはこちらのサイトです。


日本の伝統色 和色大辞典 - Traditional colors of Japan

http://www.colordic.org/w/


楽曲和名事典

http://tinyangel.jog.client.jp/Music/Menu.html



◆絵画の中に飛び込む

 第一部で西の大陸を、第二部で東の大陸を制覇してしまったので、第三部では五人をどこで冒険させればいいのか……と考えた結果、「絵の中(=異次元)に行かせよう!」ということになりました。

 この元ネタは、私の大好きな海外のファンタジー小説「魔法の国ザンス」でタペストリーの中に飛び込むというお話があり、そこから着想をもらっています。


作者の脳内:

「さて、どうやって絵の中に飛び込ませようか?」

「魔法の呪文や、鏡を通り抜けたワープで……でもいいけど、ありきたりかな。少し捻りが欲しい」

「〈色と絵画〉だけでなく、もう一つの裏テーマというか……縦軸と横軸、二本の軸が欲しい。第三部のテーマとして〈色〉を縦軸としたら、横軸に据えられるものは何だろう?」


 と考えたときに「音色ねいろ」という単語を見て、


! そうだ、横軸は〈音/音楽〉にしよう。そうすれば話が拡がりが出そうだ」

 と思いつきました。


 どこかで「絵画を見たときに音が浮かんでくる」というような「共感覚」という単語を見たことがありまして、「逆に音から色を思い浮かべるのもアリだよね」ということで、音をトリガーに色の世界に飛び込むという世界観ができました。


 そして「音によって絵画=色の世界に飛び込む」というイメージで「色紡ぐ音」というサブタイトルを付けました。


※作中で魔女ブランシェが語っている謎理論。もっともらしく書いていますが、もちろんウソ理論です。



◆掟と絆

 「目には見えないが、身体や心を縛るもの」に掛けて、「ルール」と「絆」と解きました。


 最終章までずっとレイアを縛っていた「掟」。けれどそれは別の見方をすれば仲間との大切な「絆」だった。

 縛るものを良い意味と捉えるか、悪い意味と捉えるかの違い。もしくは、それまで「絆」という概念をもっていなかったレイアが初めてそれを認識し、言語化できたのが最終話だったのです。



◆仲間と家族

 リートの心をずっと悩ませていたのも、逆に最後に彼を救ったのも、親子の愛でした。

 クラングとリートの親子の絆、レイアと仲間たちの絆。

 家族をもたない天涯孤独なレイアですが、最後にレイアにとっての「家族」や「居場所」というのは「四人の仲間なのだ」と気付きます。

 「家族と仲間」というのも第三部の一つのテーマです。



◆天使と悪魔

 「天使と悪魔は同じ存在である」。第一部で「表も裏もない」としたのと同じテーマです。

 ものの見方一つで真実は善にも悪にもなる、ということが第一部~第三部まで共通して描きたかった思想・テーマになっています。

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