ラビリンスワールド

とけい

第1話

吹き荒れる嵐……

人々の視線に集まる一人の少女。

彼女の名は…

「ラビット」

世界で1、2を争う大怪盗。

その神秘的な瞳。

淡いスカイブルーの美しい瞳。

彼女は、青のドレスにたくさんの宝石を身につけている。

だが 、ラビットも普段は高校生。

名前も本当は、高倉 うさぎと言う 。

成績は優秀。

でも、テストの順位はいつも2位。

今回のテストは500点のうち498点。

な、の、に、あいつ「高橋 たくま」

は今回のテストで500点のうち499点。

「なんで私が2位なのよーー」

とうさぎがぼやいていると、隣りの席のたくまが、

「今回も俺の勝ちだな!」

「1点差でいばらないでよ」

「その1点差で負けたのはどこのどいつだっけ」

私は何も言い返せなく静かになった。

そして、ふとした話が耳に入ってきた。

「ねぇ、昨日のニュースみた」

「みたみた!怪盗ラビットでしょ!」

「そう。金沢家の宝(ライトムーン)

 を盗んだっていう」

「でも、あそこの警備ってめちゃくちゃ凄いんでしょ!だから、これまで金沢家の宝を盗んだ人はいないんだって」

そして、その会話を聞いていたうさぎは、少しにやけていた。

(まぁ実際のところ金沢家の警備は甘々。私じゃなくても簡単に入れるんだけどさ…)

うさぎがそんな事を思っている間に始業のチャイムが鳴った。

♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥

私がまだ怪盗になっていなかったとき…

放課後たくまが私のところにきて、 「うさぎ帰るぞ」

たくまと私の家が近所で小学校のときから一緒に帰っていた。

「今日は無理。瑞希と帰るから」

瑞希は私の大親友だった。

「えぇー、せっかくたくま君が迎えに来てくれたんだから一緒にかえりなよ」

「いいよ、俺さきに帰るから」

たくまは、そそくさと階段をおりていった。

私と瑞希は帰り道いつもの場所に行った。

そこは、古びて使えなくなっているゲームやたくさんの駄菓子が売っている。

私たちは、いつものように100円分好きなお菓子を買って話した。

でも、今日の瑞希はなんだか元気がなかった。

「ねぇ……うさぎ……」

瑞希は弱々しく聞いてきた。

「んっ。何、みずき」

「うさぎって、たくま君のこと好きなの」

「えっ」私は、顔が真っ赤になった。

そして、「うん…あ、あのさ、ずっと言おうと思ったんだけど私たくまと付き合ってるんだ。」

瑞希の目赤くなっていた。

私は、わかっていた。瑞希がたくまのことをずっと好きだったことを。

だから、もし先に瑞希がたくまに告白して上手くいったらどうしよう。

そう思うと体がかってに動いていた。

そして、たくまとは付き合うことになった。

「そっか……おめでとう」

瑞希は涙を浮かべて無理に微笑んでくれた。

多分それが、瑞希の精一杯の笑顔なのだと思った。

私は、胸が痛んだ。

悪魔に針で心を刺されているようだった。

「ありがとう」

私もその言葉を出すのが精一杯だった。

私も瑞希もそれから一言も喋らず家に帰った。



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