第239話 毛布がねぇ

『桜雪ーーー‼ 僕の毛布が無いんだけどーーー‼』

 飼い猫『チョビさん』がミャーミャー僕に訴えかけている。

 どうも毛布を洗濯したことが気に入らないようだ。

(なんか凄い訴えてくるな~)

 暑いとか寒いとか関係ないのだ。

『桜雪‼ 毛布を用意するのだよー‼』

 寝るまで鳴いていたが…眠くなれば結局、僕の横で丸くなるのだ。

 慣れれば、どこでもいいのだ。

 寝ている猫の顎を撫でると寝たまま喉を静かに鳴らす。

『クロさん』という猫が死んで、ようやくソレに慣れたのか…あるいは忘れたのか…『チョビさん』は『クロさん』を探さなくなった。


 もしかしたら毛布には『クロさん』の匂いが残っていたのかもしれない。


 眠りについて…

 バシンッ‼

 顔に何かが当たって目を覚ました。

『チョビさん』が目を覚まして尻尾をバシバシと僕の顔に叩きつけてくる。

(遺憾の意か…)


 まぁ、大分気に入らなかったらしい。

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