第209話 嫌なタイミングで…

「あのねグレープフルーツジュースにハマってるの」

「そうなの」

「だから探しに行くの」

「どこでも売ってるんじゃない」

「100%のだよ」

「うん、僕もたまに買うもの」

「無いんだよ」

「たまたま売り切れってこともあるよ」

「そうなのかな~」


『彼女さん』と、そんな会話をしたのが2週間前。

 ふと気づけば…

「たしかに見ないな…」

 アップル…オレンジ…グレープ…はあるんだよ。

 確かにグレープフルーツは無い。


「あのね、桜雪ちゃん、ドンキ行く?」

「いや…めったに行かない」

「あのね、行ったらグレープフルーツジュース売ってるか確認してきてほしいの」

(まだ探していたのか…)

 というか…行かないと言ってるのに、行けということか?


「アレじゃない、ドラッグストアとか行ってみたら?」

「どこも混んでるの、無駄に動きたくないの」

(だから僕が動き回ればいいんだな…)


 そして今日、ドラッグストアで買い物をしていて思い出した。

「うん…無いな…」

 いやでも…薬はグレープフルーツジュースで飲んじゃダメだとか言うしな…そういう理由で無いのかもしれない。


 気になって帰宅して、調べてみた。

 どうやらアメリカのハリケーンでグレープフルーツに多大な被害が出たらしい。

 そんなわけで世界的に不足気味なのだそうだ。


『彼女さん』に連絡入れておきました。

 しかし、絶妙なタイミングでハマるもんだな。

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