第204話 いるだけで迷惑
「今日、Hさん休みなんですよ」
バイト先のパートさんのことである。
以前に書いたが、爪水虫で全20枚の爪が1枚も無いという女性だ。
ついでに言うと、旦那も同様であるらしく、両親もそうなのだそうだ。
水虫一族のエリートである。
腕毛、すね毛のムダ毛処理もしない、およそ清潔感に欠ける人である。
「なぜ清掃業に?」
もう、問題はソコじゃない。
仕事は覚えない、遅い、ワタシ出来る人面という…『通』に似た空気を持っている。
つまり、僕が嫌いなタイプである。
「病欠?」
「なんか…発熱したんだって…」
「この時期に…バカが…」
そう清掃業とかホテルは従業員に不要の県外移動を制限しているのだ。
そもそも水虫だけで清掃業アウトだと思うのだが…人手不足の業界には、こういうのが入って来る傾向が強い。
正直、コロナとか感染した人を責める気はない。
感染の仕方は責めていいと思っている。
Hさん、水虫なのに温泉とかよく行くらしい。
もちろん、会社には黙っていくのだ。
まぁ夫婦揃って利己的なのだろう…
ちなみに会社に言われて治療には行ったらしいのだが、医者がサジ投げたという強者だ。
「来月、新婚旅行行くんです」
Hさん、この時期に新婚旅行?
馬鹿だから、会社に許可なく県外に遊びに行って土産物買ってきてバレて怒られたという過去もある。
怒られたから、黙って行くのだが…
怒られた意味を理解していない。
「仮にさ…」
コロナだったとして、感染源が2週間前に遊び行った先で感染してきたとすると、当然、会社には禁止されているうえに無許可で行ったんだから、ホテル側からの賠償は清掃会社経由で個人に行く可能性もあるわけだ。
ホテル側は当然として、僕らの本来、貰えるはずの給料も請求できるわけだ。
「…破産一直線じゃん…」
60分の休憩も15分で切り上げて穴埋めしなけりゃならないような忙しさ。
「Hさん、熱さまシート貼って横になっているってさ」
「うん…会社に嘘ついてるから、医者には行けねぇんだよ…万が一、陽性とかになったら、どエライ騒ぎになるからね」
「そうですよね」
「とりあえず発熱して休んでいるってことだけは、会社に報告したほうがいいんじゃない? 管理責任ってあるんだぜ…」
バイトの僕が心配することじゃないけどさ。
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