第1444話「格差社会」

午後十一時の都市。

犬が現れた。

政府は健全な市民(一般人が想定する市の住人を指す言葉。または、近代社会を構成する自立的個人であり、政治参加の主体となる者を指す言葉)よりもずっと犯罪者を求めていた。何故なら実験台および生きた肉体が必要だったからだ。超高齢化社会が問題視された現代においてリソースを消費するばかりの長寿は犯罪とされ、65歳以上の高齢者からは人権が剥奪された。歳を取った人間は選択を迫られる。都合のいい実験動物モルモットとして扱われるか、処理されるか。前者は近年だと主に意識転送実験、転送先は人語の使えない動物、すなわち殺処分を待つばかりの犬。実験の成功失敗は任意の人語に対する脳の反応および行動によって判定される。生存の道が僅かにでも残されていると錯覚した高齢者は揃って意識転送を選択し、希望を抱いたまま社会の礎となって消えた。犬:人間間の実験データを基に行う人間:人間間の転送は100%の成功率を誇り、富裕層と貧困層の格差は日ごとに増していく。そんな中、突如として現れた人語を介する犬は、社会の闇を暴露し一躍有名犬となった。

だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃で犬の出生を暴露した。

犬は権力者層の仕込みであったことが明らかとなり、都市はさらなる混沌に包まれた。

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