第1354話「そのチョコは何で出来ている?(12)」

午後七時のバレンタインデー。

復元した校舎が現れた。

意識を取り戻したレールガン女子高生は誰(一般人が想定する自分以外の不特定多数を指す言葉。この場合はレールガン女子高生以外のあらゆる事象を指す)よりもずっと強いので何もかもなかったことにしようとしたのだが、ガトリングガン女子高生を抱えて戻ってきたアンチマテリアルライフル女子高生を見て、おそらくだいたい解決したのだろうと判断してミントまみれの校舎とミントに飲み込まれた一般女子高生を元に戻すだけに留めた。兵器女子高生たちは解散し、残ったのはアンチマテリアルライフル女子高生とガトリングガン女子高生だけ。アンチマテリアルライフル女子高生は、あげる、と手製のチョコをガトリングガン女子高生に手渡した。ガトリングガン女子高生は中身を確かめる。少し暗い色のチョコレート。何か入れたの、と問われたので、苦いものと返す。

ガトリングガン女子高生はふうんと呟いて、とにかく嬉しい、ありがとうと微笑んだ。

どういたしまして、と返事をする。

決して伝わることはないし、伝えるつもりもないけれど、そこには自分勝手で一方的な私の想いを込めました。苦々しくて重苦しい、大切な、私の想い。

いつか貴女をここから救います。――たとえ貴女がそれを望んでいなくても。

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