第989話「死を呼ぶニワトリ」

午前六時の目覚まし時計。

ニワトリが現れた。

目覚まし時計は通常の音量(一般人が想定する音の大きさを指す言葉。音声学においては音の長短の度合いを指す言葉である)よりもずっと強烈な音でなければ持ち主が目覚めないことを理解しており、内部でニワトリを飼うことにした。ニワトリは通常朝日とともに鳴くものだが、目覚まし時計が朝日を遮り、任意のタイミングで日光を入れることで指定の時間にニワトリを鳴かせることができる。さすがの持ち主でも耳元でニワトリの鳴き声が聞こえたら起きざるを得ないだろう。目覚まし時計は叩き起こされて不機嫌そうな持ち主の表情を想像してほくそ笑んだ。

だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、持ち主を永眠させた。

声で人を殺す死のニワトリの噂が世間を賑わせた。

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