第946話「ペンギンリゾート」

午後二時の空。

ペンギンが現れた。

渡りペンギンは高冷地(一般人が想定する低緯度地帯でありながら標高が高く、寒冷な土地を指す言葉。平地とは異なる農業が展開される)よりもずっと過ごしやすい場所、すなわちリゾート地を求めて一斉に古巣を飛び出していくことで知られる。空飛ぶ姿は蝶の如し、蜂のように獲物をつついて収穫し、つかの間の空中散歩を楽しんだのち予約済みのリゾートホテル屋上に着地する。プールを快適な温度に設定してもらい、かき氷シロップをすすりながらサンオイルで肌を焼く姿は映えスポットとしてインスタグラマーたちを集めている。

だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃で渡りペンギンを絶滅させた。

決して嫉妬ではないがペンギン風情がふざけるなという気持ちがあったことは否定できない。

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