第802話「手癖幻想」

午前八時の秘密基地。

二人きりの空間が現れた。

秘密基地は職場(一般人が想定する好ましくない空間を指す言葉。逃げ出したい)よりもずっと居心地が良く、少年と少女は家出の末に二人暮らしを始めていた。どこかで見たようなシチュエーションではあるが、職場で妄想するにも限界があり、あまり深く思考せずに場面空想を広げるとだいたい似たような作りになってしまう。つまり少年と少女は実際には存在せず、二人の幻想を抱いている男は職場の椅子に腰かけてコーディングしている。

だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃でもうちょっと頑張れと励ました。

それも男の幻想なのかもしれなかった。

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