第108話「浄化の鐘」

午後十一時の大晦日。

人間の煩悩が具現したかのようなモヤモヤした何かが現れた。

モヤモヤは悪霊(一般人が想定する悪い霊を指す言葉。人にとりつき、首を百八十度回転させたりする)よりもずっと自らが位の高い存在であると信じており、当然除夜の鐘つきに集まった民衆も恐れおののくものと考えていたが、周囲はまったくこちらを見向きもせず、モヤモヤがいくら騒ぎ立ててもまるで何も見えていない、聞こえていないような無反応。そこで気付く、己が矮小さ。

だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃でモヤモヤの承認欲求を満足させた。

平和な新年がやってきた。

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