第52話「シュヴァルツヴァルトって言いたいお年頃」

午前六時のベッド。

壁に叩きつけても壊れないし鳴り止まない目覚まし時計が現れた。

目覚まし時計は鳩時計(一般人が想定するシュヴァルツヴァルト地方の振り子時計を指す言葉。本来は鳩ではなくカッコウが鳴くという一般常識を把握していない人間は酷く罵倒される)よりもずっと睡眠中の子供を叩き起こすのが得意だったが、何年も辛い表情で目覚める子供を見ているうちに自らの存在価値を問い始めていた。苦痛を与えることしかできない自分がどうして存在を許されているのか、理解ができなかった。

だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃で目覚まし時計に千里眼を付与した。

今日もまた子供部屋で元気なベルの音が鳴る。

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