15cmの僕と君の7日間
青空リク
プロローグ
ある部屋の中……。2人の男女の声が響く。
「先生! 本当に彼らを接触させるのですか?」
「あぁ、そうだ」男の声。
「しかし、彼らの病気は……」最後まで言葉を告げない女の言葉を、男は理解している。
「分かっている。だが、これが一番の方法だと私は判断した」
「私は違うと思います!」必死に相手を説得しようとする声。だが、落ち着いた様子で男は言う。「なぁ、15cmって短いと思うか?」
「何ですか、急に。15cmっていったら、先生と私の身長差ぐらいですかね? そこまで長いようには感じませんが……」いきなりの質問をよく理解できてないような、女の声。
「本当にそうか? 15cm、有るか無いかで変わる物もあるんじゃないのか?」男は言った。
「……先生? 今日はなんだか変ですね。私にはよく分かりません」女は言った。「ところで、先生。そろそろ回診の時間ですよ」
「そうか、じゃあ行こう」男女は会話を打ち切り、部屋を出る支度をし始めた。マスクをつけ、除菌をする。
2人が出ていったあとには、深い深い、闇が残された。
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