第24話
さすがに熱かったので、すぐさま口の中に入れた。
野生動物の肉は、よく焼いているせいもあってか普段食べなれている肉と比べるとやや硬かったが、味に問題はなかった。
塩だけじゃなくこしょうも欲しいところだが、それはここでは贅沢と言うものだろう。
魁斗が口をもぐもぐさせながら、猪を紫苑のナイフを借りてさばき始めた。
紫苑同様に、その手際はよかった。
――いつもこんな食事をしているのだろうか?
清武が考えていると魁斗が言った。
「雉と兎はほとんどなくなったな。猪が三分の二くらい残ってるな。これが晩御飯で残りは朝食だな」
「今食べたばかりだし、もうすぐ夕方だし。残りは夜食でいいんじゃないの」
「夜食にすると、食べてすぐに寝ることになるぞ」
「別にすぐに寝なくても、いいんじゃないの」
「いや、ちょっと経って晩飯のほうがいいな。晩飯が早いと、必然的に早く寝ることになる。そして早く起きる。早寝早起き。日本人の基本だぜ。美容と健康にもいいしな」
「美容と健康を気にする年でもないわよ」
――この二人はいつもこんな感じなのだろうか。
いったい仲がいいのか悪いのか。
いや、完成度の高い漫才を見ているような空気感があって、とにかく息はぴったりだ。
結局、仲はいいのだろう。
「とにかくそういう訳で、明日は集合時間が早いから、今日は早く寝るぞ」
「集合って、寝る場所と集合場所は同じでしょ。集合時間ってなんなのよ。起床時間ならわかるけど」
「ったく、これだから素人は」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます