第19話

実にさわやかな笑顔である。飛燕が言った。


「清武さん、ご無事でなによりです」


「いえ、こちらこそ」


「まあ、あいさつはそのへんでね。ところで中ボスは出てくるのかしら?」


紫苑が似ている方向を見て、魁斗が言った。


「出てくるんじゃねえか。ひょっとしたらバグかなんかで、出るに出られなくなっているのかも知れねえぜ」


――ゲームじゃないだろう。


清武は心の中で突っこみを入れた。


全員で森の先を見ていると、先ほどの化け猿が現れた。


そしてその数がどんどん増えてゆく。


「中ボスが出てくるのかと思ったら、雑魚キャラがまたのこのこ顔出してきやがったな」


「いや、ちょっと待て」


「なんか様子がおかしいわよ」


化け猿は集まったかと思うと、なんと近くにいるもの同士で合体を始めた。


そして次々と合体を繰り返してゆき、とうとう一匹の大猿となった。


顔はタツノオトシゴもどきのままだが。


その身長は十メートルを軽く超えそうだ。


「こんだけ木の生えているところであんなにでかくなって、ちゃんと動けんのかよ」


「どちらにしても倒すのは一匹でいいようだな」


そう言うと飛燕は、無造作に槍を投げた。

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