東の群青、西の瑠璃

茶匡密

プロローグ

 人生初の木登りにヒヤヒヤしながら、最後の力を振り絞り、わたしは巣から落下した雛ガラスを巣へと帰してやった。

 しかし、どこからともなく親ガラスが巣荒らしだとでも思ったのか、威嚇状態で巣へと戻ってきたのだ。

 攻撃的なカラスにビックリしたわたしは、そのまま体勢を崩し、その結果三脚がグラつき、地面に向かって真っ逆さまに落ちていく。

 ぎゅっと目をつむり、地面に叩きつけられるのを覚悟で身を硬くしたものの、ふわりと何かに抱きとめられ、体のどこにも痛みは感じない。


 不思議に思いそっと目を開けると、そこにはわたしをお姫様抱っこしたまま宙を浮いている男の姿――いや、背中に大きな羽を生やした天狗の姿があった――……。《プロローグfin.》

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