消えゆく通りゃんせ。

ЕСБの革命

どうして、通りゃんせは減ったのか?

 この作品を読んでいる読者の諸君はご存じだろうか?

 実は音響用信号から『とおりゃんせ』や『故郷ふるさとの空』などの音楽式が消えつつある現状を…。

 というのは2003年(平成15年)にが通達で、音響用信号機を擬音式ぎおんしきにする方針が決まり、その影響で音楽式の信号が次々と擬音式(鳥の鳴き声。)に置き換わりつつある。


 何故、音響用信号は擬音式が主流になっているのか?

 いくつか理由を取り上げよう。


 1つは、擬音式の音響用信号の方が安上がりになる事が上げられる。

 現に擬音式を導入した地域の方が音楽式を導入した地域よりも音響用信号の設置率が高い現実が存在する。

 筆者が石川県に行くとき、昔から音響用信号は擬音式でメーカーは名古屋電機工業なごやでんきこうぎょう製のものをよく聞こえる。

 名電スピーカーは、と言うあだ名とも呼ばれている。

 そして石川県の県庁所在地である金沢市を歩くと『ぴよぴよ』と『カッコウ』が頻繁に流れた事をよく思い出す。

 それ故か、金沢市内を歩いているときは『ぴよぴよ』やかっこうを頻繁に耳をするのだ。


 因みに石川県の音響用信号の事情を簡単に書くと…。

 主道:ぴよぴよ

 従道:かっこう(押しボタン式の音響用は全てこちら)


 この方式で金沢市内はかなりの数で音響用信号が『ひよこ』と『かっこう』が流れる事が多かった。

 金沢駅や市街地からある程度離れた場所でも流れていたので如何に金沢市街地では相当な普及率だと実感できた。

 それ故なのか、金沢に行くと鳥の鳴き声の音響用信号が聞こえない場所は殆どないとまで感じているのだ。


 一方、筆者の住んでいる神奈川県では以前は、ご存知の通り音楽式の信号を採用していた。

 だが、21に変わり、2015年(平成27年)には音楽式の信号が消滅した。

 神奈川県の信号は以下の通り。

 主道:故郷の空→かっこう

 従道:通りゃんせ→ぴよぴよ(押しボタン信号は全てこちら)


 勿論、日本信号の灯器や音響用信号は以前は存在しなかったので音楽式に日本信号製のものは皆無だった。

 だが、石川県に比べると音響用信号が増えたのは21世紀に入ってから事だった。

 勿論、擬音式が増えてからなので、大都市の割に遅かったのが現状だった。

 当然ながら、横浜駅周辺でも導入されていない場所も多く、川崎駅も擬音式になってから導入された場所が圧倒的に多かった。

 それを考えると音楽式より擬音式の方が安上がりの費用で済んでしまうのはこの様な普及率と関係してあると断言できる。

 つまり、音楽用信号機が高いのは著作権の問題を含めて高くなったと言われているの正しい。

 著作権の問題はJR東日本の発車メロディーである宗次郎の曲が取り換えられたこともこれと関係している。


 2つ目に、騒音の問題がある。

 音楽式信号は騒音が問題になる事が多く、それが裁判沙汰になった事が非常に多かった事が上げられる。

 特に東京多摩地区はその手の事で非常にうるさい住民が多い事で知られ、裁判まで発展したのは記憶に新しい。

 騒音が原因で大都市以外では音楽式を入れる事が厳しかった事が上げられる。

 音楽式を入れている、入れていた都道府県は以下の通り。


 北海道

 青森県

 岩手県

 福島県

 東京都 主道:故郷の空 従道:通りゃんせ

 神奈川県 主道:故郷の空 従道:通りゃんせ

 福井県

 山梨県

 長野県(スクランブルのみ。故郷の空)

 静岡県(スクランブルのみ。富士の山)

 京都府(スクランブルのみ。通りゃんせ)

 大阪府 主道:故郷の空 従道:通りゃんせ

 鳥取県

 島根県

 広島県

 福岡県

 大分県

 宮崎県

 沖縄県


 これ以外の県は全て擬音式になり、音楽式は一切存在しない。

 特に樹脂灯器じゅしとうきを採用していた秋田県、山形県、愛知県、石川県、兵庫県、愛媛県、高知県、徳島県は以前から擬音式を採用していた。

 又、騒音にうるさい埼玉県、千葉県、兵庫県などでは住民の苦情が大きかったことから擬音式を採用した経緯があるので、騒音対策としても音楽式は向かない事が一目瞭然である事は間違いない。


 最も東京都では擬音式でも騒音が騒がれているせいからか、押しボタン式で採用する方向に進んでおり結局、その様な方式にするなら従来通り『通りゃんせ』や『故郷の空』を流しても問題ないと判断できる。

 何故なら、ボタンを終せば音楽式でも擬音式でも問題にならないからだ。

 日中でも常時なっているから擬音式にする必要があるが、そうでなければ音楽式でも充分である事は変わりない。


 なら、東京都。否、警視庁はそれだけの盲人用押しボタンがあるなら、普通に音楽式を採用しても良いだろうと感じた。


 そして最後に、音楽式が減った理由は何よりも選曲に問題があると感じた。

 特に『通りゃんせ』は音楽式とは言え、印象が悪くなるのは当然だ。

 第一、通りゃんせは昔からある怖い童歌わらべうたとして有名だ。

 故に、他の曲を中心にできなかったのかと考えられてしまう。

 では、そうなると何が良いのか?

 それは『故郷の空』はそのままにして青森県のスクランブル交差点で採用されている『乙女の祈り』を採用すれば問題にならなかったと感じる。

 特にピアノ風にすれば、騒音を減らせる観点からも問題がなくなるので、こちらを普及すれば案外、鳥の鳴き声を中心とした擬音式でなくても十分だと考えられる。

 そして、静岡県の『富士の山』みたいに音響用信号をご当地化したいなら落ち着いた曲調に変えるだけでもかなり騒音がグッと減らせると感じてくる。

 寧ろ、ご当地メロディーである『富士の山』や『お馬の親子』なども十分検討できるであろう。

 他には神奈川県のスクランブル式だったら著作権の問題が絡まないなら京急のお馴染みの『赤い電車』を、兵庫県なら阪神タイガースの『六甲おろし』、沖縄県なら『島唄』なども検討に入るだろう。

 こうしてスクランブルや歩車分離式信号だけでも音楽式を復活させ、尚且つ落ち着いた音調やご当地音楽なら騒音問題でも減らす事は出来る。

 なので、擬音式に何でも統一するのでなく、音楽式も用意する事で外国人観光客にとっても良い結果を残せるのではないかと思われる。

 また擬音式の弱点である時間が判断できない点、音が小さくなりやすい点、攻撃的な警告音(特にぴよぴよ)が強い点などを考慮しても十分、考える必要があろう。

 又、当然ながら音楽式の方が擬音式より旅情があるのでこれを機に曲を考えた上で復活させてはいかがだろうか?


 最後に、アニメでも以前なら音楽用信号が『通りゃんせ』や『故郷の空』が頻繁に流れていたが、最近は『シャーロット』みたいに鳥の鳴き声に変わっている事が増えている。

 これは時代の流れなのか?それとも音楽式に通りゃんせを避ける風潮なのかわからない。

 果たして、音響用信号から音楽式は消えるのか。それとも工夫した上で復活するのか。

 音響用信号の今後、にこうご期待。

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