第832話 『ロシア協奏曲ト短調作品29』 ラロ

 ラロ先生(1823~1892)が書いた、最後のヴァイオリン協奏曲にあたります。(第4番)


 初演は、1883年。


 ロシアの音楽を素材として使っているとのことですが、ロシアは広いですし、はたして、どのような素材だったのか分かりませんが、ちっとも、ロシア的な感じがしないところが、みそ。


 第1楽章も、まあ、その気になって聞けば、そういえば、なんだか、バラライカの響きみたいかしらあ?


 とか、思ったり。


 むしろ、名高い『スペイン交響曲』に似た感じのパッセージが聞こえたりします。


 全奏で叩きつけるような場面は、ロシア的なのかもしれない。


 そういえば、ボロディン先生が書いた『イーゴリ公』の、『だったん人の踊り』に近い雰囲気を意図しているのかも。


 第2楽章は、『ロシアの歌』なんだそうですが、たしかに、たいへん、じゅわじゅわで、良い音楽です。


 しかし、取り立てて、いわゆるロシア風な感じではないです。

  

 むしろ、スコットランドとか、アイルランド風な気もいたします。


 第3楽章、第4楽章と、さすがは手慣れた、良くまとまった、質の高い音楽です。


 第3楽章は、そもそも、なかなか独創的で面白いので、あまり、ロシアにこだわる必要はないかも。


 歌い上げかたが、やはり、ラロ先生なので、日本人からすると、かなり、スペイン風な感じの音楽なのですが、聞くかたの、基本になる感性により、さまざまな捉え方はあるんだと思います。


 第3楽章の終わりかたも、『スペイン交響曲』に近い。


 第4楽章は、たぶん、第1楽章と並んで、一番、凝った音楽で、序奏から始まり、やがて、早い音楽に移り行くのも、共通。


 ブラスの響きが、もしかしたら、ロシア的なものを表しているかも。


 主部に入って歌われる主題も、ロシア的なものなのかもしれません。


 やましんが聴いているのは、フランスIPG原盤の国内盤LPレコードです。(テイチクKUX-3042-PG)


 ヴァイオリンのソロは、ジャン=ピエール・ワレーズさま。


 解説の、懐かしい、あの、藁科雅美先生も、『ロシア的な情緒はむしろ希薄である。』と、しています。(長らく、NHKラジオ、日曜日、朝のクラシック音楽番組の解説をなさっていました。)


 最後は、なかなか、カッコ良く閉めますが、ここらあたりは、ラロ先生の独壇場。




・・・・・・・・・うつ  💃 うつ・・・・・・・・・・・・


 


 

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