第804話 『ロザリオのソナタ(ミステリー・ソナタ)全曲』 H.I.F.ビーバー

 さて、この作品につきましては、第2話で第一ソナタだけを取り上げました。


 しかし、それから、なんだかずいぶん時間も経ちましたし、なにしろ、社会環境が劇的に変化しました。


 なんとか、疫病退散! ということもありますし、洋の東西を問わずに、非常に危険な状況でもあり、ここは、この長大な作品に、さらに癒しを求めてみよう、というわけです。


 そもそも、この作品は、音楽史のなかでも、どうやら大きなポイントになっている、そういう、象徴的な作品であります。


 これ以前は、こうした大掛かりなヴァイオリン独奏によるソナタはあまりなく、まずはイタリアの名人から発祥し、ドイツで、ビーバー先生(1644~1704)などに受け継がれたような感じです。


 同時代には、ヨーハン・ショップさま(1590?~1667)、J.P.フォン・ヴェストホフさま(1656~1705)、ヨーハン・シュメルツァーさま(1623?~1680)などの、ドイツ・オーストリア系の名手たちがいたんだそうで、ありますが、その中でも、ビーバー先生が特筆される存在だったようです。


 全部で15曲のソナタが入っていて、そのあと、最後に置かれた、無伴奏の『パッサカリア』は、後の大バッハ先生の『無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ』の前身になっています。


 作曲された正式な年号は、特定されていないようですが、1675年くらいではないか、とか言われるようですが、学問的なことは、ここでは追求しません。(たいへんだから。いや、できないから。)


 もっとも、『ロザリオのソナタ』と、今日呼ばれますが、ビーバー先生はそういう題名は与えていないんだそうで、カトリックのお祈りに使うロザリオ(数珠ですね。)がありまして、また一方、この曲の自筆譜にはキリスト、マリアの秘蹟(ミステリー)を示す銅版画が挿入されていたことから、あとから作品とくっついて、そう言われるようになったらしいです。


 ただし、ビーバー先生は、特に標題にこだわらなくてよい、ようなお手紙を残していたようですし、やましんなど、クリスチャンではない人にとっては、参考位に見ておいて、あとは、自由に聞いたらよいのだろうと、思っております。


 さらに、この作品の演奏には『スコルダトゥーラ』という、変則的な調弦のテクニックが使われる、ということが、LPやCDの解説には必ず、書いてありますが、弦楽器を演奏するかたは、理解しやすいのだと思いますが、やましんには、非常に難解です。


 楽譜の冒頭には、その調弦の指示が書かれているとのことですが、そうした技術的な難しさもあり、この作品は、しばらく埋もれていたようですが、1905年に、現代版の楽譜が出版され、研究が進んだようです。


 で、なぜか、20世紀の後半から世紀末になって、俄然、注目を集め、録音がたくさん登場してきました。


 何かを求めても、なかなか求まらず、経済的格差が拡大するばかり。


 お金持ちは、さらに富み、一般の人は、そこまで行かず現状維持が困難になりつつあり、さらに、ひたすら落ち込む方々が一方に存在する。

 

 パソコンなどに、ついて行けない、やましんみたいな方もあり、一方、どんどん先に行ってしまう方もあり、企業を立ち上げ、使える人からは絶大な人気が出た一方、ただ、ひたすら、一部機能を使うだけの為に、複雑怪奇なスマホやパソコンを買わなければならないような、また職場では、使えることが前提でありまして、使えない人間は職場で居場所ながなくなるような状況、つまり、あえて言えば、かなり、アンバランスな社会になり、つまり、一種の『選別』が行われてきたのです。


 職業訓練や、短期間の講習なども行われてはきましたが、新卒の方はちょっと別として、多くは、生活に使える程度までで、専門的なレベルに達するのは、非常に難しかったのです。(いまでも、もっとそうかも。)


 そこは、あなた、努力でしょう?


 まあ、そうなんですが、生理的にやましんなどは、合わないわけで、結局社会からは、脱落引退となりました。


 まあ、そこは、別として、15のソナタは、『ニ短調~イ長調~ロ短調~ニ短調~イ長調~ハ短調~へ長調~変ロ長調~イ短調~ト短調~ト長調~ハ長調~ニ短調~二長調~ハ長調』と並び、最後にト短調の無伴奏『パッサカリア』が追加されます。


 最後以外は、器楽の伴奏が入りますが、面白いのは、録音によって、それぞれ、楽器の種類や、扱いが異なる点です。


 これは、演奏者の方が、練りに練って決めたことだと思いますが、それぞれに個性があって、実に面白いです。


 また、ナレーションが入っている録音もあります。


 先日、早朝NHKのテレビで放送された、ライブでも、ソリストさまが、しゃべりながら、演奏しておりましたし、なにやら、客席の方から登場したりとか、視覚的な工夫も随分したようでした。


 つまり、演劇的な要素を、取り入れることも、可能な訳です。


 演奏自体も、静謐なものから、けっこう派手なものまで、千差万別です。


 宗教的な背景があるので、どうしても、そこは、ちょっと、難しいところですが、先述のように、やましんは、気にしない事としております。


 約二時間、たっぷりと聞くことができます!


 ぜいたくな時間です。


 すごもり生活は、ここにきて、あまりうまく機能していないような気がしますが、せっかく時間ができたなら、こうした作品も、聞いて見てはいかが?


 現代では、おおかた、ピリオド楽器(古楽器)を使うのが常識のようですが、たとえば、じゅわじゅわとしたところでは、アンドリュー・マンゼさまがソロをしたCD(ハルモニア・ムンディ)、またいささか劇的なところでは、”リリアルテ”のみなさまのCD。(エームズクラシックス)


 また、古楽器の演奏とは一線を画している、しかも、ちょっと比較ができないような超名演奏として、評価の高い、スザンヌ・ラウテンバッヒャーさまのCDがあります。1962年の録音ですが、音は大変よい状態です。(ボックス)


 最近、やましんが、ちょっとお気に入りは、エヴァン・ションソンさまのCDで、ぶっとびな部分と、じゅわじゅわな部分の組み合わせになっていて、やたら、面白いです。ただ、この、ニューポート・クラシックレーベルは、いささか、手に入れにくいようです。やりすぎ、という方もあるかもしれないです。


 パブロ・ベズノシウクさまのCDには、英語のナレーションが入っています。演奏は、ゆったりと始まる、じゅわじゅわ系。(アヴィー)


 現在は、他にもいっぱい出ています。やましんは、ここ10年以上かけて、じっくり集めてますので、まあ、いろいろありますが、手始めには、手に入れやすいモノから、どれでも、いいんじゃないかと。(なんと、なげやりな。)

 

 どれかひとつにしなさい、というのならば、ラウテンバッヒャーさまが良いですが、ついでに古楽器の演奏も、ひとつ聞くと、幅がぐっと広がるとは思います。


 国内盤は、あまりないのですが、お高いのがいささか問題では、ありますものの、日本語解説があるので、ありがたい。


 最近は、ネットで調べられるので、比較的お安い輸入盤でも良いのではないかと。


 CD二枚になるし、長いし、とっつきにくいぞ。


 かもしれないですが、音楽は最高に美しいです。   👼




  ************ うつ 😢 うつ ************



  

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