第748話 『ヴァイオリン・ソナタイ長調K.526』 モーツァルト


 1787年8月24日の日付がある作品。


 第1楽章は、子猫と子犬が、庭で跳ね回っているような主題から始まります。


 モーツァルト先生(1756~1791)、絶好調という感じなのですが、まったく、しろとの感覚からしても、隙がない緻密な音楽。


 緊張したり、緩んだりを繰り返し、わくわくさせます。


 わりと、あっさり終わらせるのが、かえって不可思議。


 第2楽章は、長調と短調が、ふわりと入れ替わったりして、モーツァルト先生と、シューベルト先生だけにしか書けないような、底無しの深淵を伺わせる、なかなか、正体が見えない、危ない音楽。


 こういう深淵に、落ちるなら落ちてみたい。


 ただし、上がっては来られないだろう。


 ブラックホールみたいな楽章。


 ここは、じゅわじゅわ。


 第3楽章は、主題を、カール・フリードリヒ・アーベルさま(1723~1787)の作品、ソナタ作品5-5、という曲からいただいているのだそうですが、ロンドンに子供時代に訪れたさい(1764年)、仲良しになった方とのこと。


 この年の、6月20日に亡くなったので、追悼の意味合いがあったのでは、と、モーツァルト研究で知られる、ドゥ・サン=フォワ(1874~1954)さまは、おっしゃったそうな。(モーツァルト辞典 東京書籍 1991)


 第1楽章の、ワンちゃんとにゃんちゃんが、少し、大きくなって、バタバタ走り回る感じから始まりますが、別の旋律が、続々と現れ、なにやら、ふと、想いに沈むところが、なんとも、哀しい。でも、すぐ、また、走り回る。


 こうした雰囲気は、ピアノ協奏曲イ長調K.488の終楽章も、そうですが、そちらは、1786年の作品なので、このソナタの方が後なんですね。


 多彩な味わいがある、傑作。


 モーツァルト先生、もう、人生残り少ない時期。



・・・・・・・・・・うつ  😍😢💓💓 うつ・・・・・・・・・


 


 


 

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