第179話 『ピアノ五重奏曲第1番・第2番』 ベルワルド

 ベルワルド先生(1796~1868)の室内楽曲は、4曲の『交響曲』ほどには、まだ知られていないかもしれないです。


 しかし、今後、さらに認知されるようになる可能性を秘めた傑作であります。


 2曲の『ピアノの五重奏曲』は、まず『第1番』は1856年に出版され、『第2番』のほうも1857年7月に完成され、その年に出版されたようです。


 このころは、もう最後の10年にさしかかっている時期で、その本当に最後の1~2年だけ、音楽家としての成功がベルワル先生に(こらこら、『ド』だけむりやり省略するな!)訪れたようであります。よかったです。


 死後になって、ようやく成功する方もありますが、実業家としてはそこそこ成功したとはいえ、やはり生きてるうちに音楽家として、一回くらいは成功してみたかったことでしょう。


 この2曲とも、大変緻密な作品です。


 たしかに、間違いなく『ベルワルド印』が刻印された音楽ではあります。


 独特の節回し、そうして、半音階進行を多用するところなど。


 しかし、『交響曲』の場合に比べ、あまり突飛な感じを持たせません。


 音楽が、実に心地よく、うまく流れてゆくのです。


 世間に対して、なんだか、いつも、ごつごつ、ぎちぎち、カンカンしていた『しこり』がほぐれて、肌当たりが非常に巧妙になり、こなれて、実によいお湯かげんになってきています。


 しかも、やましんをひたすらびっくりさせていた、やや奇術か魔術のような、かなり危ない奇抜な部分が、あんまりなくなり(ま、いくらかはありますよ。それがベルワル先生だもの)、音楽の構造が精緻になって、さらに、とっても『じゅわじゅわ』な慰め効果を生み出すようになってきているのです。


 独特の節回しも、いささか泣かせるところがあります。


 「苦労なさったんだなあ!」


 しかし、やましんのように落ちぶれているのではなく、ついに、さらなる高みに到達したのであります。


 ここがすばらしいのだ!


 『ウイーン・フィルハーモニア・クインテッド』のみなさまのCDがすばらしいです。(Explore Records EXP0003)


 また、ナクソス・レーベルからも、かつてCDが出ていたように思います。


 一発で名旋律に襲われるタイプの音楽じゃないとしても、これ、きっと傑作!



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