第56話 『夜想曲第1番』 ショパン

 うっとうしいです。


 今日はお腹のステントを交換する日でございました。


 3ヶ月ごとに入れ換えます。


 お腹を開けて、尿管つないでしまうと、解消されるかもしれません。


 職場は、多少リスクはあっても、是非ともそうしよう、とのご意志でした。


 本人も最初のうちはその気だったけど、主治医さまは、安定した現状でわざわざ、お腹開けるメリットはないのでは?と。


 他のお医者様も、お腹を開けるということは、大事だよー!慎重をきしたほうがよい、とのご意見でした。


 一方、精神科の先生には、あまりやましんの状態について、否定的見解を職場に言って欲しくないなあ・・・と申し上げていました。だって、休職もしたし、よくないなら、やめてほしいな、とか、言われてもこまるしな・・・・。


 逆に、『できるなら、ではでは・・・』と、仕事がまたきつくなるのも、恐怖でしたけど。


 案の定、『元気なら、なぜ仕事できないの?』と、言われましたのです。


 そりゃもちろんそうです。


 自分が管理者だった時に、体調悪くて休んでいたかたを思えば、よっくわかります。 


 立場といふものは、大きなものを、言わせるのです。


 でも、だって、だから、人間怖い!


 ほんとおに、怖いです。


 しかし、まあ、最終的には、観念しました。ぼくには、もう、仕事は無理です。


 とても人様の前で、働くようなことは、できないでしょう。


 復職したあと、思い知らされました。


 お客様からも、非難が続きました。


 とても、社会には、もう通用しないです。


 社会のガンです。


 早く消滅した方がいい。


 みなさんが、そう願っているのだよ。


 でも、変なプライドもあり、なぜあんなに必死に働いて来たのに、と、イライラもしたけれど、上司も周囲の多くの方も、そう『判断』なさったようでしたから、それが正しいのです。社会の意思です。天のお気持ちなら、仕方ないです。


 でも、それでも、さらに、そこで、仕事にいのちを掛けようとも、しなかったのは、社会人として、やはり罪だったのではないか?



 この曲を、ぼんやりと聞くと、職場の上司や同僚の方々や社会の方々の非難の声が、今も、ぼくには聞こえるのです。(やっと曲が出てきました!)


 毎晩、その悪夢に苦しんでいます。


 お前は、役立たず、くず、邪魔。なぜまだ生き恥をさらしているのか?


 サッさと、自分の始末くらいやれよな。


 毎晩のように、非難されてはいます。


 ごめんなさい。

 申し訳ないのですけど、ぼくには、そんな勇気はないのです。


 しかし、どちらにもにしても、責任は本人にありますからね。


 どうにもなりませんです。


 暗い空が、『しょせん、なにもかも、あんたの罪で、すべてもう、終わったのさ。』と、言っています。


 ショパン先生、この曲、あまりにも、効きすぎですよ。


 なぜ、このような音楽を、書いたのですか?

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