第24話
「え、お前知ってんの?」
おれは思わず理子に聞き返した。
「うん、だってすごい強い神様なんだよ。剣の上に座ったり、手がつららになったりするんだから!」
竹見専務、もといタケミカヅチはにっこり笑って
「おや、わたくしをご存知でしたか。それは光栄です。その芸当は機会があればお見せしましょう。しかし今はそんな話をしている場合ではない。いや、こんなかたちでここにやって来て頂いたのにはのっぴきならない事情があるからなのです。オトタチはどこまで話しましたか」
おれはいまだ夢の中のような気分だった。理子も善太も同様のはずだ。事実、善太などは先程からずうっとポカンと口を開けたまま、あちこちを落ち着かなさそうに見回している。理子は理子で意味ありげにおれを見た。どうやらおれが代表して話せということらしい。
「あのう、ええと、なんでもマガ・・ツクルトフ?っていう荒ぶる神がこの高天の原にやってきて暴れているとか・・・それでおれ達が必要だとかいうことは聞きましたが・・・」
「そうです。その通りです。事態が一番差し迫っているのはこの高天の原なのです。巨大な荒ぶる神久留刀布はおそらく二三日中にはここへとやってくるでしょう。われら高天の原の神々はそれに備えて軍備を整え、作戦を練りました」
「えっと・・・軍備って、戦争があるのですか」
おれの心臓の鼓動は一気に速まった。嫌だ、どんな形であれ戦争なんて。死にたくない。
「正確には戦闘ですな。敵は一体のみなので」
「その戦闘と僕らのバンドにどんな関係が?」
「これをご覧下さい」
そう言って竹見専務は立ち上がり、正面の台の上に置いてある骨らしきものを手に取り、おれに見せた。意味がわからない。
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