第8話

 ローズたちは街道を東のカザフ村の方向に歩きだした。


 ふと空を見上げたローズは、白い鳥を見つけた。鳥は空高く飛んでいる。


 いい天気だな。


 黒い大鷹が白い鳥に向かっていった。


「あ、危ない」


 白い鳥は大鷹に突進されて空をまっ逆さまに落ちていく。


 けっこう近い。


 ローズは白い鳥の落ちた方向にかけていった。


 そこには、裸に下腹部を布でおおい、背には真っ赤に染まった白い大きな翼を生やした男が倒れていた。


 人間?


「ロン、かってに走るな。……これはララミーの民だ」


 後から追いかけてきたバードがいった。


 バードは近いて様子をみる。


 胸に吊るしたリルスの玉が白い光を放ちだした。


「……そ、……それを背に」


 男が息もたえだえに言った。


「こうか?」


 バードは玉を男の真っ赤に染まった翼に向ける。


 光はどんどん強くなった。それとともに、傷がいやされていく。


 傷がいやされ終わると光も消えた。


「ありがとう。助かりました」


 男は頭をたれた。


「いいや、玉の使い方を聞かなければ助けられなかった。なぜ知っている?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る