ソウルティア・ブレイズ
いある
第1話 邂逅
熱い。身を
それは例えるなら
「…気に入っタ。」
不意に声がした。耳に伝わる、というよりも頭蓋に直接打ち込まれたような不思議な感覚。けれどもほかに例えようのないものであることも確かだ。ここで自らに声を認識する程の余裕があったことにも遅まきながら気が付かされた。声の主は男とも女ともつかない声音。ともすれば合成音のように聞こえてさえくる。不気味でありながら強大な存在感を放つ声に焼ける体も気にしないまま心を傾けた。
「おまエ、名前はなンて言う?」
決まっている。
返すべき答えを思い浮かべる。しかし言葉を口にするよりも早く何者かからの言葉は返ってきた。
「ふぅン?いい名前じゃネ?じゃ、こっチかラも自己紹介っテのすべきかね?」
そうして奴は名乗った。自らが炎の象徴である事。名をブレイズといい、存在意義は敵を焼き払うこと。物騒極まりない存在だがどうやら本気で言ってるらしい。全世界で起こる爆破テロなんかもこいつの気まぐれで起こされていたこともあるとかなんとか。
そしてこれから俺と行動を共にするということ。平然と心の中まで読み取りやがるこいつはどうやら女らしい。だが問題なのは情報の内容ではない。
無条件で信用してしまうこの
どう考えても眉唾物であるこの話を鵜呑みにしてしまっている。どういうわけかこの子の話には信じさせる魔力というかなんというか得体の知れない何かが潜んでいるような気がしてならない。
「というワけで、これかラよろシくな、相棒」
紅蓮の炎の中にどこからともなく現れた少女。炎を塗り固めたかの如く赤い瞳は
彼女の手には不釣り合いな大きさの朱色の大鎌が在った。
そんな死神を思わせる大鎌を携えたまま少女はいたずらを企む子供みたいな表情で再び微笑む。
あたかも、
――禁忌と呼ばれた《黒魔術》に手を染めた、
俺と少女の物語が今ここにその幕を上げる。
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