九月の蝉の鳴き声

「九月に蝉の鳴き声は聞こえないのよ」と君はいつも口癖のように言っていた。当たり前だろと思った。蝉は夏にしか鳴かないのだ。夏が終われば消える。

 君と出逢ってから約二ヶ月が経つ。そろそろ夏も終わる。

 八月最後の日に、夏が終わる日に君は亡くなった。

 君の言葉の意味をようやく知った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る