第2夜
先輩が会社に来ない。
いきなり、何の連絡もなく、もう3日間も無断欠勤している。
上司も怒りまくってて、あいつは今週中に来なければクビだ! と息巻いていた。
まぁ無断欠勤は良くないことだし、上司が怒るのも無理ないけど…。
何してるんだろう、先輩。
私は今年の4月に入社したばかりだから、先輩の事はそれほどよく知らない。
だから、気になっても家に行くとかまではしなかったし、できなかった。
でも昨日、先輩と同期の人が会社終わったら見に行くって言ってたから、それで大丈夫だと思ってた。けれど。
同期の先輩も、今日、会社を無断欠勤している。
動揺した人たちが、なんかヤバいんじゃない? とか、口々に勝手な想像を言い合ってて。
もちろん私も、なんだか嫌な感じがするのは確かだけれど。
怒りまくってた上司は、最近の若い奴は何考えてるんだ! とさらにボルテージが上がってしまったらしかった。
なぜ、2人とも来ないのだろう。
社員の誰もが携帯電話番号を知っているからかけてみるけれど、呼びっぱなしのまま反応がない。
勤務時間が終わり、2人からは何の連絡もないまま1日が過ぎた。
残業をして最後まで残っていた私も、やっと終わった書類を上司のデスクに置いた後、更衣室に向かった。
そこで、気づく。
この香水の匂い、どこかで…。
それは確か、珍しい香水だって言ってた、先輩が自慢してた香水の匂いだった。
でもなんで?
ギィ…
ロッカーの扉が、ひとりでに、開く。
ほんの、少し。
少しの、隙間。
から
視ていた
目が合った
声が出ない
ギィ…
更に開く
そこに
先輩が居た
そっか
無断欠勤してたんじゃなくて
ずっと会社に居たんだ
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