ビントゥオン
@bigbird09
場面1
そして俺は死んだ。ごく普通な家庭に生まれ、ごく普通な学校に入り、ごく普通な青春をし、ごく普通な会社に入社、ごく普通な家庭を持ち、ごく普通な余生を送った。中にはいくつものドラマがあったが、それもごくごく普通であっただろう。
なぜなら俺は小さい時からこの「普通」という言葉について小さな疑問を持っていた。
「普通ってなに?」
子供の頃、俺はたくさんの人に聞いた。
「身長、体重、コレステロールの平均値なんじゃない?」
普遍的な回答ばかりだった。俺は一番合理的なもの、辞書に聞いた。
「ありふれていること。一般。」
どこか納得できなかった。いくら聞いても、みんな答えは同じ。そこで俺は余生を利用して本を書いた。「普通ってなに」だ。
おおまかな内容はこうだった。「いくら探しても答えの見つからない『普通』。私は思った。それらの全てが普通なのではないかと。そしてそれらは、自分では気づくことのできないものなのだ。『あなたは普通だ』と指をさされれば、『あなたも普通だ』と言わんばかりであるのだ。普通とは、自分自身なのだ。」。一節を抜粋するとこういった内容だ。
だから俺は普通という言葉でいかんせん、儲けることができたし、唯一自分が「普通」の日常からちょっとズレることのできた特別なものとなった。しかし、その要素を覗くとやはり他人から見れば普通だ。
つまり、人生において事故なく終わった私の生涯は、ここに終わる。いま目の前に広がるのは、まるで光が目の中にずっとたまっていくような、強い、目に痛い、白色が増していく情景である。ああ、どこへ行くのだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます