依存

彼が居てくれた

彼が居てくれたから

彼が居てくれるから。


尖って凍えた氷を

捉えて放さない鎖を

少しずつ

溶かし、ほどいた。


飛ぶことも

歩くことも

立ち上がることも

起きることも

忘れてしまった私に

その手は優しく私を起こし

立たせ歩かせ飛ばしてくれた。


逃げる私を捕まえ

強く、抱きしめてくれた。

甘え方を知らない私を

砂糖で煮詰めるように甘やかして、

躾のない私を

泣きながら叱ってくれた。


私はなにも持たないのに

返せるものなどないのに

彼は笑って、言うの

君がここに居てくれたらいと。


私には彼が居る。

だから私はここに居る。


貴方が居てくれて、よかった。

もうなんにもいらないわ。


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