アンドロイド

美春繭

第1話嫉妬 1

何不自由なく、全てを持っているアイツが憎かった…。




同期入社した柏木と俺。


同じ位置から、スタートしたはずなのに、気づけば、埋める事が出来ないない程、差がついていた。



常に比較される日々。




もう、うんざりだ。




そんな環境の中で、俺の思考は歪んでいく。




そうだ。

あいつの大切な物を奪えばいい。




あの日から、俺は少しずつ、ある計画を立て始めたのだ。


「やっべー…、書類の一部を家に忘れてきた…」


それは些細な事から、始まった。

隣で柏木が、顔色を変え、酷く動揺しているようだった。




「まだやる事あるのに…」

ブツブツうるさい奴だ。

毎晩女を取っ替えひっかえで遊んでいるから、そうなるんだろ。

俺は心の中で、そう呟いた。




柏木は、スタイルも良く、顔もいい。

仕事も出来る!…となれば、女子社員がほおっておく訳がない。



女に不自由している…どころか、毎晩違う女と遊び歩いている事を、よく俺に自慢していた。




それに比べて俺は…。





わかりやすく言うなら、俺は柏木に嫉妬していた。


だからこそ、柏木のミスを知った俺は、心の中で笑いながら、傍観していたのだ。

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