第45話 ガイコツのスケさんの自宅は4Lであった。

「どうぞどうぞ、汚いところですがおあがり下さいませ」


骸骨に連れられてナナシとリル、そして奴隷だった女ルリエッタは現在居る尾骶骨町にある骸骨の自宅にやってきていた。

男奴隷の2人はこの町出身と言う事で実家に帰ると言い連絡先を骸骨に伝えて帰っていった。

ナナシに非常に感謝していたのだがナナシ本人が「ついでだから気にするな」と言い張ったのでそれ以上何もまかったのである。


骸骨の家の玄関と思われる引き戸を開けると4畳半の部屋が在り奥へ続く襖らしき扉が一つある奥へと細長い家であった。


「母ちゃん今帰ったぜ!」


骸骨がそう告げると奥の襖が開いて白装束の今にも倒れそうな青い顔をした女性がフラフラと歩いてやってきた。

骸骨の方をチラリと見てから他の3人の姿を見て一言・・・


「借金取りか?」

「いやいや母ちゃん俺やがな!なんで息子の顔を忘れてるねん?!」


白骨の顔面に区別が付くのかは分からないが目の前の女の人から骸骨が生まれたのかとナナシは遠い目で見つめる・・・

そんなナナシと女性の目が合った。

まるで吸い込まれそうになるその瞳に突然真っ赤な血管が浮き上がり目が赤く充血した!


「お金!その男からお金の匂いがプンプンするわ!」

「あっ・・・」


骸骨が母親急変に何かを察したのか女の前に立って小さく呟く・・・


「母ちゃん、俺あいつから金貨20枚借りてるんや・・・」

「・・・このドアホ!!!」


突然おもいっきりしばかれた骸骨は家の壁に激突し体がバラバラになる・・・

だが直ぐに組みあがり立ち上がって骸骨が告げる。


「仕方ないやん、財布落としてん・・・でな、奴隷に売られたのを買い戻して貰ったんやわ」

「そうか・・・あんた、この子の為に金出してくれたんやな・・・この家には金目の物なんて何も無いからさ・・・この体で・・・」

「いえ、結構です」


即答であった。

その後、出された湯冷ましを飲みながらナナシは交渉を始める・・・


「それで彼には金貨20枚を貸していますので、代金分お世話になっても大丈夫ですか?」

「それって家に泊まるって事かいな?」

「えぇ、1人1泊銀貨5枚で食事は別料金と言う形で返済してもらえれば」


ナナシの提案に二つ返事で了解をした骸骨の母親は早速今日の夕飯を作ると言い残し買い物に出て行く。

その間に骸骨に案内され部屋割りが決められた。

真っ直ぐに4つの部屋が続いている形のこの家で、一番奥の部屋は母親の部屋なのでその手前の2部屋を自由に使わせてもらえる事になったのだが・・・


「リルとルリエッタはこの部屋でその手前を俺と・・・そう言えばお前名前なんて言うの?」

「スケルビ・ドミニュード・サイラハンレエンストジュデームと呼んでくれ」

「じゃあスケさんな」

「ま、マジか・・・」


どうにも緊張感の無い一同であった。






一方その頃・・・

奴隷商の方では店主に1人の男が報告をしていた。


「やはり領主と会うというのは嘘か・・・くそっふざけたまねをしやがって」

「どうします?」

「なに、やりようはいくらでもあるさ。とりあえずは、あの一緒に居た女を奴隷に落とすか・・・」

「分かりました。そちらの方は任せて下さい」

「あぁ、頼んだぞ」


ナナシに高く奴隷を売りつけようとしていた店主は騙された事を知り復讐の計画を企て始める・・・

実はナナシが立てた作戦通りに誘導されているとも知らずに彼等はナナシの予定通りの行動をし始めているのをまだ知らないのであった。

ナナシの本当の目的が実は炎上だとは知る由もなかったのである。

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