第6話 便利な収納活用法

「さぁ暖かいうちに召し上がれ」


アデルの優しい笑みに手にした皿からスプーンでスープを掬う七志。

ゆっくりとスープは口の中へ自身の手によって運ばれ…

パクっと口に含んだ瞬間にスプーンを残してスープだけ収納した。


(た、助かった…)


生唾を飲み込むのをスープを飲んだと勘違いしたアデルは七志の元を離れて…


「ゆっくり味わって食べてね」


と優しく言い残し再び部屋から出ていった。

その言動に少し違和感を感じた七志であったが居ない隙に残りのスープも収納に入れて食べ終わった風にして一段落した。


『おい!』

「ん?何だ?嵐?」

『今収納したスープな、フォルダに格納されて見れるわおもしれーぞこれ』

「こっちはそれ飲まされそうになってヤバかったんだって…見てただろ?」

『あぁ見てた。あんな美人の手作り料理とか最高じゃねぇかとか思ってたんだが…落ち着いて聞けよ』

「ん?」

『このスープなプロパティで中身分析したり出来るみたいなんだが…凄いぞこれ、麻痺薬に媚薬に睡眠薬に何故かプロテイン…』

「ちょっそれってまさか!」


その時部屋のドアがノックもなく開いた。

とりあえずベットに横になった七志が薄目で見るとそこにはアデルと薄汚い腰の曲がった男が一人入ってきた。


「売り物はこいつか?」

「あぁ、薬が効いてるから暫くは起きないし…ってこいつ全部飲んだのか?!これなら明日までは何やっても起きないよ」

「お前も悪いやつじゃのぅ」

「アタシは狩人だよ、売れるモノを狩るのが仕事さ」


二人の会話を聞いて自分の身に迫ってた危機を知った七志だが状況は宜しくない。

アデルだけでも七志一人でどうにか出来るかも怪しいのに相手は二人である。

だが七志には考えがあった。


「それじゃ状態見るからちょっと起こしてくれ」

「あいよ」


アデルが七志の上体を起こさせて両手で肩を持って支える。

そして男が七志の服を捲り上げようとした時に七志は両手の指を二人の口の中へ突っ込んだ!


「なっ?!」

「あがっ?!」


二人が声を上げた時には七志の手からあのスープが二人の胃に向かって口内で出現させられ二人は咳き込みながらも飲み込んでしまう。


「えほっげほっ…おまっ…え…」

「げはっぐっ…ががが…」


そのままグッタリと身動きが取れなくなった二人の放置して七志は部屋の中の物色を始めるのであった…

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