第4話 いきなりのアクセスアップと窮地

翌日、パソコンをインターネットに繋いで嵐は驚きの声を上げるのであった。


「観覧者数・・・5200?!」


そして、コメント欄に並ぶ様々な言葉に目を疑う嵐。

勿論その中にはCGだとか場所を特定しましただとか色々なコメントが並んでいるがその中に一つ気になる物が在った。


『あの七志って子供の部屋にあった地球儀の島の形おかしくね?』


それは七志が異世界に転移すると共に部屋が消失するシーンの映像なのだが1秒ほど映っている部屋の机の上に置かれた地球儀の大陸の形が嵐の居る世界の物と違っていたと言うのだ。

それに対して見間違いだとか良く出来た作り物だとか返信も付いていてそれのせいもあって再生回数が伸びた可能性も考えられた。

そして、気分良くそれを相棒に報告する為に嵐は七志の時間を動かすのであった。







「ここが・・・異世界・・・」


七志が空間を抜けた先は平原であった。

そこで嵐から念話が届く・・・




『と言う訳でいきなり観覧者数5000超えだ』

「それって凄いのか?」

『あぁ、一応1回再生されると0.025円入る。だからこれで130円くらいだな』


金額にすると少ないと思うかもしれないが二人にとっては特に労力も何も無くただ異世界に移動しただけで1日でそれだけのお金になったと言う事実の方が大切であった。

そして、嵐から早速今後の為に情報が伝えられるのであった。


まずこの世界の名前は『マジックアートワールド』

その名の通りこの世界には魔法が存在する。

魔法を使うには魔道書と呼ばれる本を体内にインストールして始めて使用する事が出来るのである。


「つまりその魔道書と呼ばれる物を手に入れないと魔法は使えないと」

『安心しろ、街に行けばこの世界なら必ず専門店がある』


そして、一番大切な話が始まるのだが・・・


『おい、少し離れた場所から魔物が近寄ってきているから移動したほうがイイ』

「あっあぁ分かった。こっちか?」


嵐の誘導に従い七志は平原を移動する。

と言っても見晴らしが非情に良いので魔物が見えたら直ぐに分かると言う安心感が二人の緊張感をなくしてしまっていた。

平原の彼方から駆けて来ていた一匹のネズミ。

問題はそのサイズであろう、人間の子供ほどの大きさがあったのだ。

そして、このマジックアートワールドでは例外なく生きとし生けるモノ全てが魔法を使用できるのを二人は知らなかった。


『おいっ七志危なっ!』


その念話を聞いて振り返った七志の顔面に水の塊がぶつかった。

その衝撃で七志は後ろへ吹き飛び受身も取れないまま倒れた。

既に意識が飛んで気絶していたのだ。


『おい!七志!起きろ七志!』


嵐が念話で叫ぶが七志は意識を失ったまま倒れている。

そこへ大きなネズミが警戒しながら近付いてきて嬉しそうに狙いを定める。

万が一にも逃がさないように突然動かれても対処できるようにしているのだろう。

そして、ネズミが七志の意識が既に無い事を知ったのかそのまま飛び掛った!

間違い無く肉食のネズミは餌を得たと歓喜していたのだろう。

だが次の瞬間飛び掛ったネズミは空中で頭部を射抜かれて後ろへ転がり絶命していた。


「ふぅ・・・とりあえずやったか」


草陰から弓矢を持った女が立ち上がった。

そして、警戒しながら倒れている七志の元まで移動して首に手を当てる。


「死んでないか、良かった良かった」


そのまま七志を放置してネズミの死体を持って再び戻ってくる。

そして、そこでネズミの死体を短剣で切り裂き素材と肉に分別する。

彼女はハンターであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る