朝のトイレ
ある会社に朝から打ち合せに行った。途中で便意を催したので、その企業が入っているビルのトイレに入ったが、大の個室は一つしかなく塞がっていた。
他に人がいなかったので待つことにした。すると、個室の中から「うぉぉぉぉん…うぅぅぅぅぅん…あああああああ…」と切なげなおっさんのうめき声が聞こえてきた。そのうめき声は一定間隔で発していた。踏ん張っている風でもあるが、痛みにこらえている風でもあった。痔か…。
そこに掃除のおばちゃんがやってきた。そこに響く「うぉぉぉっ……あああっ…うぅぅぅっ…」というおっさんのうめき声。おばちゃんは待っている自分に目配せをして無言でゆっくりと首を横に振った。
そのジェスチャーだけで、「ここのトイレは毎朝このおっさんに占拠されてるの。しばらく開かないから別のトイレに行きなさい」というおばちゃんのメッセージを受け取った。そこには完璧な以心伝心があった。
あのビルのトイレは、まだあのおっさんに毎朝占拠されているのだろうか。
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