96-2 Doctor T ~彷徨える処方箋~

もう……。

はい、病院帰りでございます。

私の主治医ですが、実は漢字一文字違いの名字という奇妙な縁があります。それも「山」か「谷」か。頭の漢字は同じ。これ以上書くとうっかり本名出しちゃうので……。

私より年上なのか年下なのか白衣を着てしまうと分からず、しかし結婚歴と離婚歴があり、医者を辞めてバイトしていた時期もあるという、人生の荒波を越えた先輩ではあります。


そんな彼ですが、処方がぶれる事でも有名で、処方変更して薬局からツッコミが入るとあれほど力説していた先ほどまでの話しをコロっと変え、回り回って元に戻る。よくある事です。病院一治らない迷医としても有名です。私は全てにおいてこういう巡り合わせなのです。主治を変えろ? なんて言って? 気弱なんです。


さて、今日もまた彷徨えました。薬に関しては結構患者の都合を聞いてくれるので、関係ないけどちょっと頭痛持ちなんですよねというと。自動的にボル○レンくらいなら頓用で処方してくれますし、風邪気味でとかいうとPLくらいなら何も言わずに処方箋に記載されます。いやまあ、問題ですけどね。これ。


今日言ったのは、ダメと分かって分かっていましたが、わりと深刻な悩みなので不眠時の頓服(いわゆる追加眠剤)が今の量だと、どうしても足りないのでちょっと回数増やせません? くらいの軽いノリで言ったら、「わかりました。一個ダメだけど、あとは思い切って極限まで増やしましょう!!」って軽いノリ。気づくべきだったのですが、寝ぼけていてこっちも思考停止状態に近かったんですね。ヘロヘロだったもので。いつもやる処方箋チェックもせず、薬局でヤケにチェックされるなぁと思いながらも、なんか薬代高いなと思いながらも、受け取って帰宅。改めてチェックしたら……。


 追加眠剤の主剤がお守り程度からいきなりMAX。それとセットの安定剤だけ主剤の量を超えてその薬が許される回数のMAX。意味あるのかなこれ? この辺りでもう危険ですが、まあ、このくらいまでは、この先生あってはありがちなのでよしです。しかし、偏頭痛用のボル○レンが「頭痛時1回1錠10回分」→「1日3錠 毎食後28日分」……おおい、頓服ですらなくなったぞ!! そもそも、それ関係ないぞ!! いや、素人だから分からないけど、あまり不眠とは……。


これぞDoctor Tの真骨頂なのです。うっかり下手な事を言うと彷徨える処方箋が生まれるのです。そういや、ボル○レンもパックしますか? と薬局で変なこと聞かれ、ねぼけながらも別で……と言いましたが、こういうことかとやっと分かりました。


ちなみに、私は薬をねだらない方だと思っています。辛い時には、言いますが。私は患者で、相手は医者ですから。

だた、ノリと勢いは気を付けた方が良いです。私みたいなお調子者と調子がいい医者がセットになると、こういう事態になるのです。気を付けねば。


……そういや、なんか風邪引いたっぽいって言ったら、PL(総合感冒薬)20日分出たな。忘れていた。


THE 薬漬け医療の極みでございます。

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