【GM用】シナリオ

ダブルクロスth3

~琥珀色の非日常~

【オープニングフェイズ】

・シーン1:広がるレネゲイド PC③

あなたはS市支部の支部長である。本日は日本支部との定期連絡があり、日本支部長霧谷雄吾からの連絡をあなたは支部長室で待っていた。時間に正確な霧谷にしては珍しく、大型モニターに霧谷が現れたのは、定刻の5分後であった。

霧谷:「お待たせしてしまい、すみませんPC③さん。そちらの支部はお変わりありませんか。」

「現在日本各地の支部から、レネゲイドビーイングの目撃情報が多く上がってきています。彼らは人間を理解したいという欲求に従って動くことが多いため、我々UGNの予想のつかない方法で騒動を起こしてしまいます。現在もその対応に追われていたところです。」

「中には、純粋に人間を知りたいという欲求に従って動くがためにFHなどに利用されてしまい、被害を拡大してしまうレネゲイドビーイングも多いようです。特に最近日本支部を騒がせているのは“ジェムナイト”というFHエージェントです。」

「現在、PC③さんにお任せしているS市近郊の支部でもレネゲイドビーイング、及びそれを利用したFHエージェント“ジェムナイト”の暗躍が目立ってきているので、S市でも警戒を強めておいてください。よろしくお願いします。」

霧谷との通信が切れ、PC③が業務に戻ったところでシーンをカットする。

・シーン2:情報提供 PC④

S市で任務に就いているあなたの携帯に着信が入る。電話の相手は敷島あやめ。最近覚醒したUGNイリーガルで、あなたは彼女の危機を一度救ったことがある。

あやめ:「あ、あの。こんにちは、PC④さん。実は今日はPC④さんにお知らせしたいことがあって、その…電話させてもらいました。」

「以前、PC④さんが私を助けてくれた時に倒した、FHのエージェントさん。春日恭二って覚えていますか?」

「PC④さんが木端微塵に吹き飛ばしてくれたはずなのに、あの春日恭二さんってエージェントが、最近PC④さんのいるS市で目撃されたっていう情報があって…私PC④さんにお知らせした方がいいかなと思って連絡したんですが……その、ご迷惑ではなかったでしょうか?」

PC④があやめの情報に関心を示す、またはお礼を言うとあやめは嬉しそうに言葉を返す。逆の場合は恐縮してしまう。

あやめ:「あ、ありがとうございます。春日恭二さんは今、あるFH内のお尋ね者を追っているみたいです。……PC④さん、昔の私みたいに危ない目にあっている人がいたら、助けてあげてくださいね。」

あやめとの電話を切ったところでシーンカット。

・シーン3:興味深い情報 PC⑤

レネゲイドビーイングのあなたのパソコンに1通のメールが届いていた。差出人は“ミーアキャット”猫川美亜。金にうるさいことで有名な情報屋であるが、今回はツケでいいという内容で、情報が一方的に送られてきていた。

猫川:「ヨッス!元気かPC⑤?今日はお前に耳よりの情報を送ってやるぜ。お前の考えてること当ててやろうか?『勝手に情報を送ってきてもカネは払わねぇぞ』とか考えてるんだろう?フッフッフッ、“ミーアキャット”を舐めてもらっちゃ困るぜ。この情報を見たら、お前喜んでカネを払うと思うぜ。お前の言い値で今回は力を貸してやるぜ!せいぜい高く買ってくれよ!!」

“ミーアキャット”からの情報は要約すると以下の3点であった。

・最近レネゲイドビーイングの目撃が増えている。

・S市に非オーヴァードに影響を及ぼす可能性の高いレネゲイドビーイングが持ち込まれた。

・そのレネゲイドビーイングをFHエージェント春日恭二が狙っている。

PC⑤が“ミーアキャット”からのメールを閉じて、S市に向かったところでシーンをカットする。

・シーン4:転校生 PC②

あなたはS市立S北高校に潜入しているUGNチルドレンである。現在の主な任務は覚醒してから日の浅いUGNイリーガルPC①の監視である。PC①のような覚醒して間もないオーヴァードは力を暴走させたり、FHからの勧誘に応じてしまったりしやすいので、あなたがそのお目付け役をしているということだ。

PC①は今日、UGNの支部で検査を受けてから登校するので、あなたは任務から離れた学校生活を満喫していた。そこに担任の教諭が転校生の情報を告げる。

教諭:「あー皆さん。お父さんの仕事の都合で東京から来た倉橋さんだ。みんな仲良くするように。」

茜:「倉橋茜です。皆さんよろしくお願いします。」

教諭:「席は…今はいないがPC①の隣にしようか。法月!面倒みてやれ。それじゃあ、授業を始めるぞー。」

ここでPC②に知覚:8の判定を求める。判定に成功した場合、倉橋茜がオーヴァードであると気づくことができる。

1限の授業が始まったところでシーンをカットする。

・シーン5:誕生日プレゼント PC①

あなたは最近オーヴァードに覚醒したUGNイリーガルである。普段はS市立S北高校に通っているが、今日は表向きは健康検診の再検診という名目でUGN支部で浸食率などの検査を受けて3限からの登校である。15分休み中に教室に入ると同級生の加田拓人が話しかけてくる。

拓人:「PC①、おーはーよ!重役出勤だな。羨ましいぞ!この、この!で、高血圧は大丈夫だったのか(笑)」

「それはそうと、お前今日忘れてないだろうな?」

「なにがってお前、今日は蒼桜ちゃんの誕生日だろ。誕生日プレゼント忘れたのかよ。」

「おいおい、マジかお前。最近ボーっとしてるみたいだけど、好きな子の誕生日を忘れるとは重症だねぇ(笑)」

茜:「あら、今日って蒼桜ちゃんの誕生日なの?」

PC①と加田が話していると、そこに倉橋茜と法月蒼桜がやってくる(PC②は登場したい場合は登場してもよい)。

蒼桜:「うん。そうなんだ。ところでPC①君たちは何の話をしていたの?」

拓人:「ほらほら、ご本人登場だぜ!謝るなら今だぞ。」

PC①は囃し立てる加田を殴って(黙らせて)もいい。

茜:「へー、蒼桜ちゃんおめでとう!…あ、そうだちょっと待っててね。」

倉橋が自分の机からオレンジ色の石のペンダントを取り出す。

茜:「これ安物なんだけど、誕生日おめでとうと今日からよろしくってことで受け取ってくれる?」

蒼桜:「わぁ、綺麗。いいの?茜ちゃん。……ありがとう。これからもよろしくね。」

拓人:「あ、あの、蒼桜ちゃん、…お、俺からも、これ…」

加田が包みを差し出すか、差し出さないかというタイミングで始業ベルが鳴り、教諭が入ってくる。授業が始まりシーンをカットする。

【ミドルフェイズ】

・シーン6:帰り道 PC①

PC①とPC②は強制登場。

PC①は加田から蒼桜を送っていくように言われる。彼は帰りに彼女に何か誕生日プレゼントを買って渡すことを期待したようだ。PC②はそれに付き添う形になる。蒼桜は茜にもらったオレンジの石を首からぶら下げている。

PC①はここで調達判定を行う。帰路にある商店街で、買い物をできる。

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【調達判定表】(〇印内の数字はクライマックスフェイズでのボーナスを表すがPLには伏せること)

5以下:特に何も見つからない-⓪

蒼桜:「いいよ、いいよ。そんなに気を使ってくれなくても…」

6以上:無難な物は見つかるが、あまり蒼桜の好みではないようだ。-⓪

蒼桜:「ありがとう、PC①君」

8以上:蒼桜の好みにあった物が見つかる。-①

蒼桜:「わたし、このデザインすごく好きなんだ。ありがとうPC①君。」

10以上:蒼桜の期待以上の物が見つかる-②

蒼桜:「いいの!PC①君。ありがとう!私大切にするね。」

15以上:蒼桜の期待以上の物が見つかるが、高すぎて買えない。-⓪

蒼桜:「……いいよいいよ。無理しないで。」

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PC①達の買い物が終わり商店街から抜けたところで、PC達と蒼桜の前に白いスーツを着たオールバックの男(春日恭二)が現れる。

恭二:「ようやく見つけたぞ!フフフ、その力は俺のものだー!」

春日恭二が[ワーディング]を展開。蒼桜はフラフラと倒れる。

恭二:「なに?オーヴァードが混ざっていたのか。だが、関係ないその石、“プテラ・スター”は渡してもらう。邪魔はさせん。」

ミドルフェイズ戦闘に移行する。敵は春日恭二1体。PCと蒼桜は同エンゲージとして扱い、敵との距離は5mとする。PC③、PC④、PC⑤はワーディングを感知できるため、2ターン目の開始時に戦闘に参加できる(春日恭二はPCが全滅するまで、蒼桜を攻撃対象には選択しない)。勝利条件は春日恭二を一度戦闘不能にすることである。春日恭二は戦闘不能になった後[蘇生復活]で復活し、[瞬間退場]で退場する。

恭二:「な、バカな。クソゥ、今回はこの位にしといてやる!」

蒼桜は気絶したまま動かない。S市の支部に移動したところでシーンをカットする。


・シーン7:集合 PC③

全PCに登場を求める。場所はS市支部。蒼桜は支部内の救護室で手当てを受けている。このシーンはPC間の顔合わせとオープニングフェイズの間に得た情報を交換するシーンである。

蒼桜の状態について尋ねると、救護班の職員から気絶は至近距離から[ワーディング]の影響を受けた一時的なショックによるものであり、じきに回復することが告げられる。ただ、と救護班の職員は、付け加える。彼女の胸にあった石が発熱していて、彼女の体から離れようとしない状態であると告げる。これに関しては原因が不明であると調査班の人間は告げる。

PC達が情報を整理し終えた段階で、情報収集シーンに移行するため、シーンをカットする。場合によってはここで以下の情報項目を開示し、行動指針を立てさせるのもよいだろう。

【情報収集フェイズ】

・a-1“ジェムナイト”に関して

情報UGN:7

最近巷を騒がせているFHエージェント。希少な宝飾品やレネゲイドビーイングとなった鉱石を収集するフリーのエージェントであり、単独行動を好む。つい先週、コードウェル博士の部下が保管していたレネゲイドビーイング“プテラ・スター”を盗み出したようで、日本FHで懸賞金がかけられていた。ちなみに彼女は極度のメンクイらしい。


・a-2“プテラ・スター”とは

情報UGN:10

琥珀にレネゲイドウイスが感染したレネゲイドビーイングである。琥珀の中に取り込んだ宿主に寄生する形で対象を支配する支配型レネゲイドビーイングである。かつてはショウジョウバエを取り込んでいたため、力も弱く非力なレネゲイドビーイングであったがFHの研究所で内部のハエを除去されたことにより、宿主不在となった。これにより、より強力な宿主を取り込むことができるため、強力なジャームとなることが危惧されている。→ac-1が開示されているのならイベントシーンへ


・b-1春日恭二の目的

情報裏社会:9

春日恭二は現在コードウェル博士の孫請けの孫請けをしている。コードウェル博士から下った指令が巡り巡って、春日恭二をS市に向かわせたらしい。しかし、春日恭二の仕事の失敗(PC達との戦闘に敗北したとき)とほぼ同時刻にコードウェル博士から発せられた指令は解除された。博士曰くその理由は、このまま放置した方が「興味深い結果を招く」からだそうだ。指令を解除された春日恭二は先程S市を発ったようだ。


・c-1倉橋茜に関して

情報web:8

彼女が転校前に在籍していた学校には「倉橋茜」という人物の在籍記録がない。明らかに改ざんされたデータ痕が残っている。さらに、彼女はここ数か月で片手に収まらない数の転校を繰り返しており、その在籍先が綺麗にレネゲイドビーイング事件の発生位置と一致している。

・ac-1コードネーム“ジェムナイト”

開示情報(a-1とc-1の両方の情報を開いたときに明らかになる)

“ジェムナイト”と倉橋茜の両方の情報に接したあなたは自然に気づくだろう。倉橋茜のコードネームこそ“ジェムナイト”であり、彼女が一連のレネゲイドビーイング事件の元凶であると。→a-2が開示されているのならイベントシーンへ


・d-1法月蒼桜の容態

情報学問:7

あなたが救護室の蒼桜を訪ねると、蒼桜は額に汗を浮かべて苦しそうにうなされている、意識は戻っていない。救護班の見立てとは逆に悪化していることが分かる。彼女の首にはあのオレンジ色の石のペンダントがかかったままで、その石が蒼桜の呼吸に合わせて脈動しているのが分かる。

ここで知覚の判定を行える。

知覚:6

あなたはオレンジ色の石が、春日恭二と戦った夕方よりも大きくなっていることに気付く。

このタイミングでPCが蒼桜の首からペンダントを外そうとしても外れることはない。蒼桜について印象的なシーンがあれば、積極的に蒼桜へのロイスの取得を促すように。


・d-2オレンジ色の石

知識レネゲイド:10

オリジン:プラントのレネゲイドビーイングである。琥珀を素材に作られたペンダントの形をしており、加工の過程でレネゲイドに感染したものと推測される。現在、驚異的なスピードで浸食率を上昇させており、覚醒状態にある。おそらく、レネゲイドビーイングに覚醒したときには内部に何かが閉じ込められていたのだろうが、現在の琥珀の内部には何も存在しないため、自我の崩壊が起こっているのだろう。

現在の“プテラ・スター”は自らの内部に吸収する存在を求め、膨張している。

【イベントシーン】

・シーン9:支配型レネゲイドビーイング PC②

発生条件はa-2及びac-1両方の情報の開示である。

このシーンが発生した場合、以降情報項目dを調べることはできなくなる。

全PCは任意登場であるが、PC①には登場を強く勧めること。

S市支部内に警報音が鳴り響く、PC達が音源に向かうとそこは救護室であった。「ギャァァァ――――」と叫ぶ救護班員をオレンジ色の触手が貫いている。その触手の元を辿っていくと、そこにいたのは法月蒼桜であった。正確には彼女は琥珀色の物体に包まれて、その中で今も眠り続けている。しかし、彼女の体は勝手に動き金色に光る触手でPC達に一撃を加えようとする(判定なしで回避してよい)。

蒼桜:「力が…力が溢れてくる…こんな力は初めてだー!!」

蒼桜の声にモザイクをかけたような不気味な声音で蒼桜が…いや“プテラ・スター”が叫ぶ。その後“プテラ・スター”は室内を跳ね回り、窓を壊して彼方へと消える。その内部に蒼桜を抱えたまま。


【情報収集フェイズ2】

e以降の情報はこのフェイズから調べることが可能となる。


・e-1“プテラ・スター”の行方

情報噂話:9

S市立S北高校にオレンジ色の人型が跳んでいく光景を目撃した人間が見つかる。現在S北高校周辺はなぜか人通りが少なく、近くまで行った人は急用を思い出して、高校の方角から戻ってくるらしい。明らかにこれは[ワーディング]が張られている時に起こる現象の一つである。

・f-1法月蒼桜の助け方

情報裏社会:9

過去に“プテラ・スター”に取り込まれていたショウジョウバエをFHの研究員が除去した際には、ショウジョウバエの生態を徹底的に調べ、そのハエを親友や彼女と呼べるレベルまで研究したそうだ。その上で、レネゲイドビーイングである“プテラ・スター”を行動不能にし、分離に成功したという。

データ的にこれを解釈すると、レネゲイドビーイングの戦闘不能あるいは死亡の際に寄生されている者にロイスを結んでいる者が近くにいれば、分離に成功できるということである。ただし、現在の“プテラ・スター”は覚醒状態にあり強力に法月蒼桜と結合している可能性がある。少数のロイスでは焼け石に水であろう。また、彼女に強いレネゲイドの力(死者の復活や強制的な体の乗っ取りなど)が加われば、加わるほど分離は困難になるだろう。


・ef-1 S北高校へ向かう

行動

宣言をしたPCがS北高校に向かうことになる。トリガーシーンに移行する。

ロイス枠が埋まっていないPCには次のトリガーシーン終了までには全枠埋めることを強く推奨しておくこと。

【トリガーシーン】

・シーン11:マッド・イマジネーション PC②

夜の校舎を背景にたたずむ人影がある。あなたたちには見覚えのあるシルエットだ。“ジェムナイト”倉橋茜がそこにはいた。

茜:「あら?UGNにしてはお早い到着ね。」

「そう、私がFHの宝石狩人“ジェムナイト”よ。PC②もPC①もUGNにいるんだったら初対面で見抜いて欲しいものだったわ。私ってそんなに知名度がないかしら。」

「あなた達の言いたいことは、見当がつくわ。法月蒼桜を…いいえ、“プテラ・スター”はどこかってことよね。教えてあげてもいいわよ。ただし、教えるのはイケメンに限るわ。」

「あら、つれないこと言うのね。まあいいわ、“プテラ・スター”はここよ。」

そういって差し出した茜の手の平には元のサイズに戻っている、“プテラ・スター”が乗っている。

茜:「今は私の斥力で、このサイズに封じ込めているわ。残念ながら捕まえるのに少し手間取っちゃったわ。やっぱり、取り込んだのがそこそこの美人だったからかしらね。」

「法月蒼桜を選んだ理由?そんなの美しいからに決まってるじゃない。この薄汚れた世界のことを何も知らず平然とバケモノであるお前たちに笑顔を向けるイケメンこそ、私を飾る宝石にはふさわしいわ。」

「私はね、完璧な宝石を求めているのよ。“プテラ・スター”の元は琥珀。琥珀は美を永久に閉じ込めて初めて真の輝きを放つ。法月蒼桜を返してあげてもいいわよ。でもそれは、彼女以上の若々しさと美貌を兼ね備えた人間を連れてきたらの話ね。」

「私はね、あなたたちのような歪で腐った蜜柑のようなオーヴァードってやつが大嫌いなのよ!私を永遠に飾る宝石たちを奪おうとするのならば容赦はしないわ!」

倉橋茜は完全に己の歪んだ欲望のみに従うジャームとなっているようだ。説得でどうにかできる相手ではない。PC達が戦闘態勢を取ったらシーンをカットする。

【クライマックスフェイズ】

・シーン12:琥珀の檻 PC①

S北高校の校舎を背景に、前庭にたたずむ倉橋茜。PC達はそこから少し離れて固まって立っている。茜が手を横に振るうと、金色の光が大きくなり、“プテラ・スター”が2mほどの大きさに変化する。もちろんその内部では、苦しそうに眠っている法月蒼桜が捕らわれている。

茜:「この子にも遊んでもらおうかしら?」

蒼桜:「オオー!!もっと力を!!」

相変わらず、蒼桜の声を醜くした声で喋る“プテラ・スター”に威圧されたPC達は衝動判定を行う。

衝動判定

意思:9

衝動判定に失敗した場合、バッドステータースの暴走を得る。その後全PCは浸食率を2D10上昇させる。

戦闘配置は茜と“プテラ・スター”が同エンゲージでそこから10m離れたところにPCが1固まりのエンゲージを取っているものとする。

勝利条件は、エネミーの全滅。エネミーとは倉橋茜、“プテラ・スター”を指し、法月蒼桜を含まない。

“プテラ・スター”は毎ターン融合を使用し、法月蒼桜の体を乗っ取った状態で行動する(演出上のものであり、HPは“プテラ・スター”のものを適用し、蒼桜のHPは設定しないものとする)。

倉橋茜は、“プテラ・スター”のHPが0以下になった場合にのみ[加速する刻]を使用し、“プテラ・スター”のHPを[アウェイクン]で回復する。

HPが1以下になった“プテラ・スター”は茜の生存中は[ウルトラボンバー]しか使用しない。

茜:「私は、歪。私は日々、醜くなっていく。だから、だからこそ、美しき宝石を身にまとい当たり前の美を得る権利がある!」

「悍ましい。あなた達を見ているとまるで鏡を見ているようだわ。消えなさい。」

「私の大切な宝石に何てことしてくれるの!!蘇りなさい[アウェイクン]!」

「あー、醜い醜い、こんな世界壊してくれる。お前も、お前も、死ね死ね笑わせろー!!」

蒼桜:「力?これが、ニンゲンの力?…もっと、もっとだ!!」

「力が…足りない?この女からもっと絞り出せば!!」

「力が抜けていく?そんな、ニンゲンの力、失いたくない!!」

茜死亡後(回復手段がなくなった後)に“プテラ・スター”のHPを0にした場合、以下の式を計算する。

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【(A+B)-(C+D)】

蒼桜への[融合]使用回数…A

“プテラ・スター”への[アウェイクン]使用回数…B

全PCの蒼桜へのロイス数…C

シーン6での調達判定の結果得られたボーナスの数字(0-2)…D

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上記式の結果が負であれば、法月蒼桜を救出することができる。彼女はこの場では目を覚まさないが、近く目を覚ますであろう。琥珀のペンダントは粉々に砕けて、風に舞う。逆に正であれば、“プテラ・スター”と共に蒼桜は粉々に砕け散る。

バックトラックを行いシーンをカットする。


【エンディングフェイズ】

・シーン13:成果報告 PC③

霧谷雄吾に報告を行うシーン。

あなたが定時連絡のモニターの前に座ると、液晶の中に時間通り霧谷が現れる。

霧谷:「PC③さん、今回はお疲れさまでした。」

「今回、PC③さん達が倒してくださったFHエージェントは、つかみどころのないジャームでしたから、多くの支部が苦戦を強いられていました。S市支部は優秀な方が多いのですね。」

「これからも頼りにしていますよPC③さん。」

霧谷からの賛辞を受け取ったPC③が通信を切ったところでシーンをカットする。

・シーン14:後輩たちの期待 PC④

事件から数日後、敷島あやめがあなたを訪ねてくる。

あやめ:「PC④さん。今回すごい活躍だったんですよね。その、春日恭二さんだけじゃなくて、恭二さんが追っていたFHのエージェントさんまで倒してしまうなんて…PC④さんは、私の憧れです!」

「あの、私今度先輩になるんです。新しいイリーガルの子に私が力の使い方を教えるんです。私もPC④さんみたいに立派な先輩になりたいと思います。見守っていてくださいね。」

敷島あやめの決意をPC④が受け取ったところでシーンをカットする。


・シーン15:報酬は? PC⑤

“ミーアキャット”猫川美亜から電話がかかってくる。

猫川:「おーい。PC⑤、無事に事件を解決したみたいだな。どうだ?オレっちの情報は役に立っただろう?今回の事件はお前にとってUGNに恩も売れて、レネゲイドビーイングに関する情報も手に入ってお得だっただろう。」

「じゃぁ、約束の報酬だよなぁ。いくらくれるんだ?」

「フフフ、万年金欠は変わらないみたいだな。まあ、いいさ。いつかどこかにお前ごと売り飛ばして金に換えてやるからさ。それまでせいぜいくたばるなよ~!」

陽気な情報屋はそう言って電話を切ってしまった。あなたにとってはただお人好しなだけかもしれない。シーンをカットする。

・シーン16:チルドレンの日常 PC②

UGNチルドレンであるあなたには、同世代と触れ合う青春という名の日常は存在しない。今、あなたはS市の市立病院に来ていた。ここに今回の事件の被害者法月蒼桜が入院しているのだが、あなたは病室には入らず、待合室でひたすらにうるさい男と過ごしている。加田拓人である。

拓人:「なぁ、PC②。なんで俺たちは蒼桜ちゃんの病室に入っちゃいけないんだよ。」

「PC①だけ病室に入れてずるいなぁ~。妬いちゃうぞ~。」

「なぁ、お前ってPC①とよく一緒にいるけど仲いいのか?」

「ふ~ん、てっきり俺はそういう関係なのかと思って…サンカクカンケイって言うんだろそういうの?俺はPC①を応援してたから、だからお前のことちょっと邪険に扱ってたんだよ。」

「でも、こうして話してみると、お前いいやつなのかもしれないな。」

PC②がこんな日常もいいのかもしれないと思ったところでシーンをカットする。

・シーン17:元の日常へ PC①

あなたは蒼桜のお見舞いに来ていた。場所はS市市立病院の一室。先の事件は表向きには春日恭二との戦闘を行った時に、蒼桜は交通事故にあって意識不明だったという記憶処理が施されていた。PC①がシーン6で蒼桜に適切な誕生日プレゼントを渡せていなかった場合はこのシーンが始まるまでに用意をしてもらい、このシーンで処理するとよいだろう(調達判定は必要ない)。

蒼桜の怪我はもうほとんど回復していて、明日には退院できるそうだ。

蒼桜:「それにしても茜ちゃん、不思議な子だったね。私が事故にあったとき日に現れて、私が登校できる頃にはもう転校しちゃってただなんて。」

「茜ちゃんからもらったペンダント事故の時に砕けちゃったんだ。せっかくプレゼントしてくれたのに…ごめんねって、言えなかったなぁ。もしかしたら、茜ちゃんとこのペンダントが私を守ってくれたのかな。」

「え!?私にこれをくれるの!!(PC①君から貰ったもの?うん、それはほら、しっかりここにあるよ)」

「ありがとう。PC①君。大切にするね。」

「フフ、それじゃあ今度私が事故にあったらPC①君に助けてもらおうかな。な~んて。」

「アッハハ、冗談だよ。これからもよろしくね、PC①君!」

PC①が蒼桜を守る決意をするのか…。二人の談笑の中でシーンをカットする。



Fin...


【経験点配布】

・“ジェムナイト”と“プテラ・スター”を倒した…5点

・法月蒼桜をオーヴァード化させずに生存させた…5点

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