第31話:源内

 そうこうしている内に、神田界隈じゃ知らぬ者のない平賀源内の耳にも届く有り様でして……


「何~、幽霊が出た~……」

 だが、にわかには信じがたい。


 ヒデって言う岡っ引きが、

「そうなんで、さ~。源内センセ~。

 これが、また匂い立つようなベッピンさんでェ……」


「はいはい、ヨダレいて」

 お篠が注意する始末……


「ヨダレなんか……あ、垂らしてたか」

 手の甲でぬぐった。


「っで、その女性が幽霊だって言うのかい」

 お篠が冷静に聴いてきた。


「そうなんでさ~、妙齢の美女がりによって、あの六って、唐変木のトコに来ますかね~」


「さぁな」源内……

「取り敢えず、おがまして貰おうか、その美女の幽霊ってヤツを」


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